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ホラー好きが選ぶ! 楳図かずおの漫画 おすすめベスト5+α【漂流教室だけじゃない!】

time 更新日:  time 公開日:2017/02/15

皆様は楳図かずおさん(以下敬称略)をご存知でしょうか。
赤白ボーダーシャツがトレードマークの漫画家の方です。

楳図かずお

1936年生まれ。和歌山県出身。1955年、漫画家デビュー。
主にホラー漫画をお描きになっていますが、ギャグ漫画『まことちゃん』も有名です。

テレビなどで楳図かずお自体はご覧になったことがあっても、漫画を全く読んだことがないとか、あっても『まことちゃん』や『漂流教室』だけという方が結構いらっしゃるようなので、以下で私が好きな楳図かずおの漫画おすすめベスト5をご紹介してみます。

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第5位『赤んぼ少女』

見た目は怖いが心は乙女! キモカワモンスター、タマミが大活躍!

生まれてすぐに両親と生き別れ、施設で育った葉子。
父親が探し当ててくれ、やっと両親と共に暮らすことができるようになったのだが、そのお屋敷にはある秘密が……!


赤んぼ少女』は楳図かずおの短編漫画の傑作です。
1967年、少女漫画誌(「週刊少女フレンド」)に掲載されたそうで、絵柄はちょっと昔の少女漫画風です。しかし少し話が進むと、およそ少女漫画には似つかわしくない異形のキャラクター・タマミが登場します。

タマミは、毛虫やらギロチンやらを使ってヒロイン・葉子を追い詰めるのですが、果たしてその理由とは……!?

タマミは葉子に結構えげつない攻撃をしかけてきますが、ある時はおめかししておしろいを塗ってみたり、ある時は葉子をスイカ泥棒に仕立て上げたりと(精神的なダメージを狙っているんでしょうか……!?)、なんだか憎めないパワフルな悪役です。

題名の変遷

「週刊少女フレンド」初出時は『赤んぼ少女』


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講談社文庫版『赤んぼ少女』。


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小学館版『赤んぼ少女』。現在は電子書籍のみ。

単行本収録時は『のろいの館


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サンデーコミックス版『のろいの館』。表紙がカッコいいです。


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秋田漫画文庫版『のろいの館』。

その後『赤んぼう少女』


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角川ホラー文庫版『赤んぼう少女』。


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小学館版『赤んぼう少女』(『恐怖劇場 1』所収)。

という題名になっています(それぞれ台詞もチョコチョコ改変されているみたいです)。

上記の内、現在新品で入手できる紙の本は講談社文庫版『赤んぼ少女』だけのようです。


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第4位『おろち』

半不老不死の美少女・おろちが人間の心の闇を覗き見る!

100年に一度、長い眠りにつくことにより、若い姿のまま生き続けられる美少女・おろち。
彼女は時に召使い、時に看護婦という仮の姿を装い、人間に近付いては、その心の闇を目撃する……。


1969年から少年誌に連載された漫画です。
赤んぼ少女』に比べると少し絵がサッパリしています。

私の手元にある秋田書店の文庫版では全4巻です。
といっても続きものではなく、1話完結の漫画の連作です。

楳図かずおというと、


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こういう絵が有名なので、スプラッターホラーを描いていそうなイメージがあるかもしれませんが、実はサスペンス色が強い物語の方が多いです。
この『おろち』は、その楳図かずおのサスペンス色が強い作品の中で、1、2を争う傑作だと思います。

おろちは様々な人間たちの心の醜さ、弱さを観察して回っているのですが、一体何のためにそんなことをしているのかは分かりません。
たまに不思議な力を使って人を助けたりもしますが、基本は人間が破滅していく様子をただただ眺めているだけです。
美少女という外見に似合わず、ものすごく悪趣味なんでしょうか……!?

残念ながら、現在電子書籍でしか販売していないようです。
ご興味がある方は、電子書籍でお読みになるか、中古の本をお探ししてみてください。


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おろち……美しすぎます……!

『猫目小僧』


猫目小僧(1)

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『猫目小僧』は『おろち』より少し前に描かれた作品で(1967年連載開始)、『おろち』と同じように主人公が狂言回しとなって物語が展開します。
『猫目小僧』は妖怪が出てくるので、人間の暗部に焦点を当てている『おろち』とは少し雰囲気が異なりますが、『猫目小僧』もまた人気が高い作品です。
特に子供の頃に読んだ方は「肉玉」という妖怪がトラウマになっているようです。

第3位『洗礼』

目的を遂げるためなら手段は厭わない! 恋敵へのいやがらせはゴキブリ、そしてアツアツのアイロン!

絶世の美女である女優・若草いずみは、人生をやり直したいという強い思いに駆られていた。そしてある恐ろしい計画を考えつき、数年かけて準備を行い、ついにその計画を実行に移すことに……。


1974年の作品。少女漫画誌に連載されたものですが、『赤んぼ少女』に比べると絵柄からだいぶ少女漫画チックさが抜けています(この2年前に『漂流教室』が描かれています。この頃にはもう絵柄が確立されている感じです)。

ストーリーは、「空想科学サスペンス」とでもいったらいいのか、とんでもなく奇想天外です。
そのトンデモストーリーに、小学生(見た目は)の女の子と、とある中年夫婦の三角関係が更に絡んでくるのでまァ大変!

ラストも大変な力技で、???な部分がいくつもあるのですが、異様な迫力に気圧されて「まァ、いっか……」という心持ちになります。
服装も言動もスカシているルポライターが出て来たりと、登場人物も濃い目で楽しいです(しかし主人公のキャラが一番強烈)。


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こちらは現在中古のみ……。Amazonに全巻セットがあります。

第2位『漂流教室』

ある日小学校が丸ごと消えてしまった! 中にいた子供たちは、何故だか小学校ごと砂漠に……!?

800人ちょっとの小学生と、給食屋の役立たずかつ小悪党のおじさんが、ある日を境に突然何もない砂漠で生きていくことに……。
SFサバイバルサスペンス」とでもいうべき壮大なストーリーです。


1972年連載開始の作品。楳図かずおの代表作といっていいと思います。

この作品は内容がてんこ盛りで本当にすごいです。
極限状態になった場合に、狂ってしまうもの自滅してしまうもの仲間をかばって死ぬものリーダーになりたがるもの現実逃避してしまうもの何がなんでも自分だけ生き残ろうとするもの……などなど、様々な人間のパターンが描かれています。

キャラクターも豊富で、クズな大人の関谷を筆頭に、女番長(小学生ですが……)、霊媒体質(?)の西さんなど、魅力的な登場人物が数多く登場します。

果たして子供たちは家に帰ることができるのでしょうか……!?


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『漂流教室』を読んだ後におすすめ『楳図かずお大研究』


楳図かずお大研究

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楳図かずおに関するムック本。ご本人へのインタビューが掲載されている他、作家・漫画家・評論家などが楳図かずおの漫画について語っています。

その中に「漂流教室はこう読め!」というパートがあるのですが、珍妙な設定やキャラクターの言動にバシバシ突っ込みを入れていて、ものすごく読み込んでいるのだな……と唸らされると共に笑ってしまいます。

しかし現在中古でしか販売しておらず、このために買うとなると少しお値段が高めです。古本屋で見つけたらチラッと立ち読みしてみて、購入するかどうか決めるといいかもしれません。

第1位『神の左手悪魔の右手』

楳図作品の中では珍しくグログロのスプラッターホラー! 絵も発想も引くレベルのすごさ!

ぬーめら!! うーめら!! 不思議な呪文を唱える時、小学生・想の身に何かが起こる……!


1986年から大人向けの漫画雑誌で連載を開始したそうで、完全にリミッターが外れています。
ゴリゴリのスプラッターです。

錆びたハサミ」「消えた消しゴム」「女王蜘蛛の舌」「黒い絵本」「影亡者」という5作品から成っています。
それぞれが10~20回位ずつ連載されているので(最終話「影亡者」は20回を越えます)、1話1話にボリュームがあります。

第1話「錆びたハサミ」は、目の中からハサミが飛び出てくるというとんでもない始まり方をします(文章だとチンプンカンプンだと思いますが、他にいいようがないのです)。
他にも舌が蜘蛛だったり冷蔵庫にすごいもの(悪い意味で)が入っていたりと、ホラー好きでもちょっと引くレベルの凄まじさです(特に「錆びたハサミ」と「黒い絵本」は非道い)。

楳図かずおは『神の左手悪魔の右手』について、

夢や幻想が、現実になってもいいんじゃないかというところからつくっている。
楳図かずお『恐怖への招待』(夢)

恐怖への招待R』という本でこのように語っています。
これをふまえると『神の左手悪魔の右手』のぶっ飛び具合も納得できますが、それにしてもちょっと悪夢すぎやしないか……よりによってこんな悪夢を現実にしなくても……という気持ちにもなります。

スプラッターに耐性がある方は是非!


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順位まとめ

1位 神の左手悪魔の右手(1986)
2位 漂流教室(1972)
3位 洗礼(1974)
4位 おろち(1970)
5位 赤んぼ少女(1967)

 

という順位です。

しかしおすすめといいつつ、1位はグロすぎるので万人にはおすすめできないかも……。
代わりに入れるとしたら、

『わたしは真悟』


わたしは真悟 文庫版 全7巻 完結セット

(楳図流小さな恋の物語。333ノテッペンカラトビウツレ!)

か、

『14歳』

(チキン・ジョージのインパクト!)

でしょうか。

ただ2作品とも、少しSF色が強いのと、ストーリーが壮大すぎて、私にはうまいこと説明ができません(天才の頭の中身はとてつもないんだなァということはしっかり伝わってきました)……。

その他おすすめの作品

少女が蛇や蜘蛛に変身する物語

1960年代(デビューから5~15年くらい)の作品には、少女が気味の悪い生き物蜘蛛など)に変身してしまうというストーリーのものが多いです。

『紅グモ』

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(1965年)や、

『へび少女』

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(1966年)、

『うろこの顔』

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(1968年)などがあります。

特に『うろこの顔』の「なりかけ」の描写は、絵に脂がのってきていることも手伝って鳥肌モノのおぞましさです。

『おみっちゃんが今夜もやってくる』

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1960年(だいぶ初期)の作品。

この『おみっちゃんが今夜もやってくる』は、オリジナルバージョンと、後に加筆されたバージョンの2種類があり、加筆されたバージョンの方が人気が高いようです。
私は上の画像の『怪 3a』を所持しているのですが、オリジナルの部分と後に加筆された部分との絵柄が丸っきり違っていて面白いです(オリジナル部分は古風な少女マンガ風のタッチ)。
そしてやはり、加筆部分があった方が断然怖いと思います。

『鬼姫』

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1967年の作品。もともとの題名は『影姫a』。

「鬼姫」と呼ばれる残忍で横暴なお姫様の影となるべくお城に連れてこられた少女・志乃。
姫のフリをしている内に、優しい性格の持ち主であった志乃の言動に徐々に変化が現れはじめ……。

上司(?)の命令に逆らえず、心にもない残酷なことをいったりやったりしている内に、だんだんそれが板についてきて……。しかしもともとは善良な少女なので、内心では葛藤があり……。
幽霊も蛇も蜘蛛も出てこない、「人間って、恐ろしいな……」という恐怖をじわじわ感じさせる漫画です。

生理的恐怖と心理的恐怖

楳図かずおは『恐怖への招待R』で、

『へび少女』『半魚人』の頃は、表面上の恐怖のドラマツルギーを強調していたが、『イアラ』の諸短編は、内面の恐怖の作品といっていいと思う。『おろち』は、その過渡期だね。
楳図かずお『恐怖への招待』(生理的恐怖から心理的恐怖へ)

と語っています。
しかし、『おろち』(1970年)より3年前、『赤んぼ少女』のすぐ後に、内面の恐怖を描いたといえる『鬼姫』を既に発表していたのですね。
『恐怖への招待』によると、編集の方に「感覚的な恐怖は描ききったのでは」といわれたことが方向性をシフトする契機になったようなのですが、1967年(30歳を越えた)あたりから、もしかしたらご本人にも「そろそろ内面の恐怖を描きたい」という欲求が芽生えていたのかもしれません。

しかしその後20年近く経った1986年、再び生理的恐怖を催させる『神の左手 悪魔の右手』を描き出したのは、時代の流れを感じとったからでしょうか(当時はスプラッターホラー映画が流行っていた)。

僕がこれまでやってこれたのは時代の流れを敏感に反映しているところがあったからのような気がする。
楳図かずお『恐怖への招待』(恐怖との交信~今後はどう書いていくのか)

そのためか、生理的恐怖という共通点はあるものの、初期作品と『神の左手 悪魔の右手』は雰囲気がだいぶ異なっていて、前者は怖い民話、後者はスプラッター描写満載の都市伝説といった趣きがあります。


……となんだかんだいっておりますが、どの年代の漫画も面白いので、未読の方はよかったらお読みになってみてください!

おまけ:楳図かずおさんが年に数回だけ青ボーダーを着て出歩く理由

赤ボーダーがトレードマークの楳図かずお先生が年に数回だけ青ボーダーを着て出歩く理由に感激!

楳図かずおさんといえば赤ボーダーシャツ! しかし年に数回青ボーダーシャツを着て外出することがあるのだとか。果たしてその理由とは……!?
楳図かずおさんの素敵なお人柄が伺えるTwitterまとめです。

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