うらなか書房のあやしいグッズあり〼

うらなか書房と申します。AmazonYahooClubTTTrinitySUZURIなどで、ちょっとあやしいTシャツやグッズの販売をしています。このブログでは、おすすめのホラー映画や漫画、本、その他少し物騒なものや奇妙なものの紹介をしています(たまにお役立ち情報や雑記も書きます)。

たまに毒吐くちゃん

カテゴリー「本・漫画などの紹介」の人気記事TOP3

「絶対的な幸せ」と「相対的な幸せ」~中崎タツヤさんの漫画を読んで

time 更新日:  time 公開日:2016/06/26

中崎タツヤさんという漫画家がいます。
著作に『じみへんR』『身から出た鯖a』『問題サラリーMANa』など。
いずれも基本的に1話4、5ページほどの短編ギャグ漫画集です。
作者の奇抜な発想にクスッとさせられたり、脱帽させられたりという話が多いですが、たまに人生について深く考えさせられる話があったりもします。

例えば『問題サラリーMAN』1巻に下記のような話があります。


  • 父母と、小学生と思われる娘が団地の芝生でお弁当を食べ始める。

  • 団地の奥様たちが「何やってんのかしら、あんな所で」と不審な目で見る。

  • 娘は「こんな所で食べるのは恥ずかしい」と言う。

  • お弁当を食べている家族は先月一戸建ての家を買ったばかり。自分たちも以前は賃貸アパートに住んでいた。父は「家を持っている=人生の成功者」だという。そして団地の奥様たちや子供をこきおろし、「ローンはつらいが自分たちはここの人たちに比べたら幸せなのだ。そう思うと弁当もおいしいだろう」と娘に言って聞かす。

  • 弁当を食べ終えて帰宅。家に入ろうとすると、通りがかった車の中から「ママ、見てよ、この辺の家ってすごいよ!」という男の子の声がする。家を褒められたと思い、得意気に振り返る父と母。

  • すると車の中の男の子が「家と家のすきまが全然無いし庭もほとんど無いよ」と言い、その母親らしき女性が「狭い所に上手に作ってあるわね」と答える(車の窓から顔の上半分が覗いているが、その表情は小馬鹿にしているように見える)。

  • 高級車が走り去るのを呆然と見送る家族3人の後ろ姿……

『問題サラリーMAN』1巻 NAKAZAKI【6】


誰かと比べたら自分たちは幸せ」という相対的な幸せは諸刃の剣だということを端的に表した漫画といえそうです。

食べ物の好き嫌いをいったり、ご飯を食べ切れなくて少し残してしまったりした時に、「アフリカの子供たちは食べるものがないんだよ」というような小言をいわれた経験はないでしょうか。私は子供ながらにその言葉がなんとなく腑に落ちなかったものでした。
日本に生まれただけでも幸せなのに」という言葉にも同様の違和感を覚えます。

ある基準において自分たちより下の人がいるのだから幸せ」という考え方では、結局はその基準で上の方にいるとされるひと握りの人たちしか幸せを感じることができません(一生井の中の蛙でいられるなら別ですが)。
人間は、他人と比べる「相対的な幸せ」を追い求めるのではなく、自分が心の底から幸せだと感じられる「絶対的な幸せ」を追い求めた方が精神衛生上よろしいのではないでしょうか。

……とは思うものの、「絶対的な幸せ」とは何かといわれたら、自信をもってハッキリとは答えられません。
それでも自分なりに定義するとしたら、

  • 人に褒められたり、羨ましがられたり、優越感を持つことにより得られる幸せが「相対的な幸せ

  • 人に褒められなくても、羨ましがられなくても、優越感を持たなくても幸せと感じられるのが「絶対的な幸せ

という感じです。

上記でいう所の私の「絶対的な幸せ」は何かと考えてみると、「美味しいものを食べる」「寝る」「面白い映画や漫画を観たり読んだりする」「動物とたわむれる」などでしょうか。
最近描いていないけれど、絵を描いている時も雑念が振り払われて頭がスッキリします。これも私にとっては「絶対的な幸せ」といえるかもしれません。

ちなみに中崎タツヤさんはものを持たないことでも有名です。

Amazon 楽天ブックス

断捨離ブームがくるずっと前から、すぐにものを捨てたくなるということを漫画に描いていました(たまにご本人がキャラとして登場します)。
この本ではなぜものを持たないのか、そしてどのようにものを処分してきたのか……ということを書いていらっしゃいます。
本を読むそばから読み終わったページを破って捨てる」「インクが減るごとにボールペンの本体を削っていく」など、数々の衝撃的な捨て方が載っていて驚かされます。

中崎タツヤさんの捨て方はちょっと真似できそうにありませんが、たくさんものを持っているとか、値段が高いものを持っているなどということも「相対的な幸せ」という感じがします。
バブル時代まではそういったことがステイタスになったようですが、今ではそういった価値観は廃れつつある……というか、もう既に廃れているのかもしれません。
資本主義的にはまずいのでしょうが、なるべくものを持たない方が生き方としてはサッパリしていて美しい気がします。

スポンサーリンク

AmazonでTシャツや電子書籍(短編小説集)を販売しています

Amazon詳細ページへ Amazon詳細ページへ

Tshirt TrinityでTシャツやバッグを販売しています

TSHIRTS TRINITY

マスコットキャラ

たまに毒吐くちゃん

当ブログのマスコットキャラ「たまに毒吐くちゃん」。所々に出没します。
TSHIRTS TRINITYClubTSUZURIでTシャツ・グッズ販売中です!

スキマ

同じカテゴリーの記事

高野悦子「二十歳の原点」三部作~二十歳で自殺した女子大生の日記

高野悦子「二十歳の原点」三部作~二十歳で自殺した女子大生の日記

二十歳で自殺してしまった高野悦子さんの日記「二十歳の原点」三部作(主にその内の『二十歳の原点序章』)を紹介しています。生きることへの疑問や、「何かをしなくては」という焦りを抱えていたり、他人の目に自分がどう映るかということを気にしてしまったりする方は共感できる本かもしれません。
Read More
ホラー好きが選ぶ! 楳図かずおの漫画 おすすめベスト5+α【漂流教室だけじゃない!】

ホラー好きが選ぶ! 楳図かずおの漫画 おすすめベスト5+α【漂流教室だけじゃない!】

漂流教室、洗礼、おろち、赤んぼ少女など…。ホラー好きが選んだ楳図かずおの漫画おすすめベスト5+αのご紹介をしています。
Read More
『偉人は死ぬのも楽じゃない』他、有名人の死に方についての本【人間臨終図鑑、知識人99人の死に方】

『偉人は死ぬのも楽じゃない』他、有名人の死に方についての本【人間臨終図鑑、知識人99人の死に方】

有名人の死に方が書かれている本『偉人は死ぬのも楽じゃない』『人間臨終図鑑』『知識人99人の死に方』を紹介しています。特に病気の症状や治療法が具体的に書いてあって描写がえげつない『偉人は死ぬのも楽じゃない』をおすすめしています。
Read More
人間を生み出すことへの恐れ~芳年『奥州安達が原ひとつ家の図』や自分の絵のことなど~

人間を生み出すことへの恐れ~芳年『奥州安達が原ひとつ家の図』や自分の絵のことなど~

自分が頽廃的な言葉や絵などに惹かれるのは、人間を生み出すことへの恐れが根底にあるからなのかもしれない、ということを書いています。また、逆さ吊りの妊婦が描かれている絵、芳年の『奥州安達が原ひとつ家の図』などを紹介しています。
Read More
無料漫画サイト「スキマ」で全巻無料で読めるおすすめ漫画【ジョージ秋山、日野日出志、上村一夫など】

無料漫画サイト「スキマ」で全巻無料で読めるおすすめ漫画【ジョージ秋山、日野日出志、上村一夫など】

無料漫画サイト「スキマ」で見つけた、全巻無料で読めるおすすめ漫画を掲載しています。『恐怖新聞』『アシュラ』『銭ゲバ』『地獄変』 『蔵六の奇病』 『怪奇! 毒虫小僧』『漫画家残酷物語』など。
Read More
江戸川乱歩と萩原朔太郎が一緒に回転木馬に乗ったという文献を探してみた

江戸川乱歩と萩原朔太郎が一緒に回転木馬に乗ったという文献を探してみた

江戸川乱歩と萩原朔太郎(両方オジサン)が、2人で回転木馬(メリーゴーランド)に乗った……ということがネットで話題になっていたので、文献を調べてみました。乱歩の同性愛への興味についても少し触れています。
Read More
丸尾末広のおすすめ漫画・画集【少女椿、笑う吸血鬼、犬神博士等】

丸尾末広のおすすめ漫画・画集【少女椿、笑う吸血鬼、犬神博士等】

エログロナンセンス、昭和レトロ、耽美、猟奇的な作風の漫画家・丸尾末広のおすすめ漫画と画集を紹介しています。少女椿、笑う吸血鬼、犬神博士、DDT、芋虫(江戸川乱歩原作)、瓶詰の地獄(夢野久作原作)など。
Read More
人間嫌いだった作家・江戸川乱歩のネガティブな言葉集

人間嫌いだった作家・江戸川乱歩のネガティブな言葉集

江戸川乱歩のネガティブな言葉を集めました。また休筆や、ネガティブと代表作の関係性などについても書いています。
Read More
言おうか言うまいか迷って結局言わずに済ませる心理や変わり者について

言おうか言うまいか迷って結局言わずに済ませる心理や変わり者について

「もっと自分の主張を押し通した方がいいのだろうか」とモヤモヤしつつも、誰かと議論したり口論したりするのは面倒くさい…。それは「自分は人と少し違うから、他人に理解してもらえるはずがない」という気持ちが根底にあるからなのかも…? その他変わり者について少し触れています。
Read More
【1巻完結】精神的に怖い漫画6作【四丁目の夕日、ブラッドハーレーの馬車など】

【1巻完結】精神的に怖い漫画6作【四丁目の夕日、ブラッドハーレーの馬車など】

精神的に怖い漫画『四丁目の夕日』『人間仮免中』『聖ロザリンド』『ブラッドハーレーの馬車』『天人唐草』『ヘルタースケルター』を紹介しています。鬱だったり後味が悪かったり胸糞悪かったりするので元気な時に読むことをおすすめします。
Read More
生まれないのが一番幸せ~反出生主義や虚無的、厭世的な言葉集

生まれないのが一番幸せ~反出生主義や虚無的、厭世的な言葉集

反出生主義や厭世的、虚無的な言葉を集めました(シオラン、芥川龍之介、稲垣足穂など)。映画『少年は残酷な弓を射る』『ダンサー・イン・ザ・ダーク』の紹介も少しですがしています。
Read More
中二病におすすめの漫画『ベアゲルター』(沙村広明)【叛逆ずべ公アクション】

中二病におすすめの漫画『ベアゲルター』(沙村広明)【叛逆ずべ公アクション】

「叛逆ずべ公アクション」「中二テイスト任侠活劇」のキャッチコピーがついている漫画『ベアゲルター』を紹介しています。サブカル系の中二病を患っている方におすすめです。
Read More
【八つ墓村など】津山事件(三十人殺し)を題材にした映画、漫画、本、絵

【八つ墓村など】津山事件(三十人殺し)を題材にした映画、漫画、本、絵

1人の青年が数時間の内に30人もの人間を惨殺したという「津山事件(津山三十人殺し)」を題材にした映画(八つ墓村、丑三つの村)、本(津山三十人殺し 日本犯罪史上空前の惨劇、最後の真相、闇に駆ける猟銃、犯罪の通路)、漫画(山岸凉子著)、絵(花輪和一画)を紹介しています。
Read More
「絶対的な幸せ」と「相対的な幸せ」~中崎タツヤさんの漫画を読んで

「絶対的な幸せ」と「相対的な幸せ」~中崎タツヤさんの漫画を読んで

中崎タツヤさんの漫画を読んで、他人と比べる「相対的な幸せ」と、自分が心の底から幸せだと感じられる「絶対的な幸せ」について考えを巡らせてみました。
Read More
夢野久作のおすすめ小説+エッセイ【ドグラ・マグラ、少女地獄、瓶詰の地獄など…青空文庫へのリンクあり】

夢野久作のおすすめ小説+エッセイ【ドグラ・マグラ、少女地獄、瓶詰の地獄など…青空文庫へのリンクあり】

夢野久作のおすすめ小説『ドグラ・マグラ』『少女地獄』『瓶詰の地獄』『犬神博士』『氷の涯』『あやかしの鼓』『押絵の奇蹟』『死後の恋』その他短編小説7作、エッセイ3作を紹介しています。青空文庫へのリンクも貼っています。
Read More
「東海道四谷怪談」を題材にした映画6本+OVA、漫画、浮世絵、本

「東海道四谷怪談」を題材にした映画6本+OVA、漫画、浮世絵、本

鶴屋南北作「東海道四谷怪談」を題材にした映画6本(中川信夫監督など)とOVA(日野日出志作画)、漫画(上村一夫など)、浮世絵(北斎、国芳)、本を紹介しています。
Read More
橘小夢(たちばなさゆめ)~怖いのに美しい絵を描いた幻の画家~

橘小夢(たちばなさゆめ)~怖いのに美しい絵を描いた幻の画家~

幻想怪奇、耽美、妖麗な絵を描いた幻の画家、橘小夢についての記事です。
Read More
『絶望名人カフカの人生論』を読んで幸福について考えた

『絶望名人カフカの人生論』を読んで幸福について考えた

『絶望名人カフカの人生論』を読んで、カフカと、カフカの友人で流行作家であったというマックス・ブロートとの関係から、幸福について考えてみました。
Read More
おすすめ本『へんないきもの』【動画あり…若干閲覧注意】クマムシ、ダイオウグソクムシ、コウガイビルなど

おすすめ本『へんないきもの』【動画あり…若干閲覧注意】クマムシ、ダイオウグソクムシ、コウガイビルなど

奇妙な見た目や生態の生物が盛りだくさんの本、『へんないきもの』と、続編『またまたへんないきもの』、そしてその本に載っている生き物6種類(コアリクイ、フクラガエル、コモリガエル、コウガイビル、ダイオウグソクムシ、クマムシ)をピックアップしてご紹介しています。ちょっと気持ち悪い動画もあります!
Read More
おすすめの漫画(ホラー多め)を紹介しつつ「ファン」かどうか考えてみる【諸星大二郎『妖怪ハンター』など】

おすすめの漫画(ホラー多め)を紹介しつつ「ファン」かどうか考えてみる【諸星大二郎『妖怪ハンター』など】

どこからファンといえるのか考えつつ、ついでに好きなホラー漫画などの紹介をしています(『妖怪ハンター』諸星大二郎、『デビルマン』永井豪、『ベアゲルター』、楳図かずお、丸尾末広、日野日出志、つげ義春、『夢幻紳士』など)。
Read More
おすすめの小説や本を紹介しつつ「ファン」かどうか考えてみる【夢野久作『ドグラ・マグラ』など】

おすすめの小説や本を紹介しつつ「ファン」かどうか考えてみる【夢野久作『ドグラ・マグラ』など】

どこからファンといえるのか考えつつ、ついでに好きな小説や随筆などの紹介をしています(夢野久作「ドグラ・マグラ」、江戸川乱歩、香山滋「海鰻荘奇談」、久生十蘭「湖畔」、川端康成「屋上の金魚」、芥川龍之介「侏儒の言葉」など)。
Read More