無料漫画サイトって、品揃えがイマイチだったり、使い勝手が悪かったりしそう……というイメージをお持ちではないでしょうか。というか、実は私自身がつい先日までなんとなくそのように思っていました。
しかし「スキマ」という無料漫画サイトを利用してみた所、そのイメージをすっかり覆されました。
この記事では、その「スキマ」の特徴と、「スキマ」で全巻無料で読むことができるおすすめの漫画をご紹介します。
無料漫画サイト「スキマ」とは
スキマ | 全巻無料漫画が32,000冊以上読み放題!
「スキマ」は株式会社TORICOにより運営されています。株式会社TORICOは「スキマ」の他に「漫画を買うなら漫画全巻ドットコム!」の運営もしています。
「スキマ」では、なんと20000冊以上の漫画を無料で読むことができます。
そしてきちんと作者や出版社に許諾を得て、広告収益などは利益分配をしているとのことなので(「スキマはなんで無料で読めるの?」)、一時期話題になったいかがわしい違法サイトなどとは違い安心して利用することができます。
また個人的にいいと感じたのが、アプリ不要でブラウザで読める点です。アプリをダウンロードしたり起動したりするのが私はあまり好きではないので……。
しかしアプリもありますので、アプリのほうがいい! という方はアプリを使用することもできます。
「スキマ」には、Google、Facebook、Twitter、漫画全巻ドットコムのアカウントのいずれかひとつを使ってログインすることができます。
「スキマ」での漫画の読み方
以前は「1日180ページまでなら無料」と大変分かりやすかったのですが、2018年2月のリニューアルでちょっと分かりにくいシステムになってしまいました……。
全話誰でも無料
「全話誰でも無料」と書いてある話はチケットもコインも消費することなく読むことができます。
また会員登録をしていなくても読むことが可能です。
待てば無料
「待てば無料」と書いてある話は、1日1話だけチケットもコインも消費することなく読むことができます(72時間以内なら再読可能)。
24時間経たない内に続きを読みたい場合は、チケットを利用するか、コインを購入して読むことができます。
チケット、コインとは
チケットはログインすると1日につき3枚もらえます(毎日21時に配布され、有効期限は24時間)。
チケットを消費して読んだ話も72時間以内なら再読可能です。
コインを利用して読んだ話は以後いつでも何度でも読むことができます。
チケット利用=レンタル、コイン利用=購入、といった感じです。
プレミアム会員
月額480円(税抜)のプレミアム会員になると、「待てば無料」作品や話が読み放題になります。通常なら漫画の読み始めに広告が出てくるのですが、その広告も非表示になります。
ただ、読むのにコインが必要と書いてある作品や話には読み放題は適用されません。
プレミアム会員=無限チケット+広告の表示なし、といった感じです。
コインの価格
コイン数 | 価格 |
---|---|
120枚 | 120円(税込) |
240枚 | 240円(税込) |
360枚 | 360円(税込) |
600、1200、2400枚……なども売っています。コインにも有効期限がありまして、180日です(詳しくはこちら)。
中には、最初のほうの巻はチケットで読めるけれど、終わりのほうの巻はコインでしか読めない……という漫画もあるので、読み始める時にチェックをしておいたほうがいいと思います。
では以下で、「スキマ」で全巻無料(待てば無料作品含む)で読める完結済のおすすめ漫画をご紹介します!
鬱展開
『アシュラ』ジョージ秋山
アシュラ|スキマ
これは衝撃作でした……!
ある身重の女性が、山の中をウロウロしている……飢饉で何も食べるものがない……空腹に耐えかねて彼女が食べたのは、あろうことか人肉……!
そんな極限状態の中で子供を産んだものの、飢えで分別を失った彼女は、その子供に信じがたい残酷行為を行ってしまい……。
生まれてこないほうがよかったのに
という言葉が繰り返し出てきますが、それは一体誰に向けられた言葉なのか……?
食べるものがなくなった時に、自分は倫理や道徳を守り通せるだろうか……? 理性を失わずにいられるだろうか……? そんな不安をかき立てられる漫画です。
『アシュラ 完結編』
『アシュラ』は「えっ、ここで終わり……!?」というちょっとぶつ切り的な終わり方をします。調べてみた所、『アシュラ 完結編』がありました。これは「スキマ」で無料では読めないので、私は電子書籍(108円)を購入して読みました。
108円という価格からも分かるように、ページ数はかなり少なめです。で、物語は一応完結するのですが……。う~ん、『アシュラ』の唐突な幕切れのまま終わっていたほうが虚無感が強かったような……。
「それだとあまりにも希望がなさすぎる」ということで、ジョージ秋山さんは完結編をお描きになったのかもしれませんが……。
『アシュラ』を読んで、続きが気になった方は『アシュラ 完結編』も読んでみてはいかがでしょうか。
『銭ゲバ』ジョージ秋山
銭ゲバ|スキマ
これも重い話です……。
お金がないので、医者が母親の病気を治療してくれない……。そうこうしている内に母親は病気で亡くなってしまう。
金が、金がありさえすれば……! と思いつめる主人公風太郎は、親切にしてくれていた近所の男性をお金のために殺してしまい……。
不幸と事件の連続……! 人間らしさを犠牲にして権力を手に入れた末に風太郎がとった行動には驚きを禁じ得ません。
『EVIL~光と影のタペストリー~』塀内夏子
EVIL~光と影のタペストリー~|スキマ
高校の美術部員であるアツトとミズキは、別の高校に通っているエイジと知り合う。エイジは非凡な絵の才能に恵まれていた。
一方、巷では被害者の首が切断されるという連続殺人事件が話題になっていた。事件とはおよそ無関係だったアツトとミズキは、いつの間にかその事件に巻き込まれていき……。
ある大切な人をかばうためにとった行動が、別の誰かの不幸を招いてしまったとしたら――。
事件の犯人が悪であることは確かなのですが、犯人やその家族の生い立ちが明らかになるにつれやりきれない気持ちが募ります。
誰しも「あの時ああしなければよかった」と後悔することがあるはずです。しかしやってしまったことはもう取り返しがつきません。その後どのように生きるべきか――そういったことを考えさせられる作品です。
『ブラッドハーレーの馬車』沙村広明
ブラッドハーレーの馬車|スキマ
「ブラッドハーレー聖公女歌劇団」――、ブラッドハーレー公爵が孤児院から養女として引き取った娘たちから成る歌劇団は、少女たちの憧れの的であった。
ブラッドハーレー家に引き取られることになった孤児院の少女ダイアナもまた歌劇団に憧れていた。自分があの華やかな舞台に立てるかもしれない――期待に胸を膨らませて馬車に揺られるダイアナ。しかしその馬車はダイアナを思いもよらない場所へと連れて行き……。
幸せの絶頂から叩き落とされる少女たちがもう不憫で不憫でたまりません。
「何故そんなことが行われるのか」を描いた1話目と、「そこに連れて行かれた少女が数日後にはどのような状態になるのか」を描いた2話目が私には特に堪えました。
しかしその後は作品の衝撃度がトーンダウンしていったのか、それとも私がこの漫画の世界観に慣れていったのか、割と平常心で読むことができました。
もしも後者だとしたら「慣れ」とは恐ろしい……そういった意味でもゾッとさせられるかもしれない漫画です。
『マイナス』山崎紗也夏
マイナス 完全版|スキマ
新卒で高校教師になったばかりの恩田さゆりは、前任者が亡くなったため急遽担任を受け持つことになった。
美人でスタイルも良く、しっかり者に見えるさゆり――だが実は彼女は、過去の経験から人の顔色を異常に伺ってしまう性格で……。
家庭や学校で虐げられた過去を持つさゆりは、「人に嫌われること」が「生命を脅かされること」に直結していて、人に嫌われないよう嫌われないようびくびくしながら日々を過ごしています。しかしその行動は傍から見れば違和感がありますし、時には違和感を通り越して異常性を感じさせるほどです。
中盤、さゆりは人に嫌われた時の彼女なりの対処法を発見するのですが、それもとんでもなく的外れ……。
しかしそれにより人の目を気にすることがなくなったさゆりは、それまでの反動からか今度は暴君のように振る舞いだします。することも考え方も全てが極端なのですよね……。
わざわざ人に嫌われるようなことをする必要はないですが、人の期待に過剰なまでに応えようとするのもまた考えものかもしれません。
『同棲時代』上村一夫
愛蔵版 同棲時代|スキマ
次郎と今日子は同棲して1年のカップル。幸せなはずなのに――2人の周囲にはなぜだか暗い翳が忍び寄り……。
2019年2月ごろに追加されていました。
上村一夫さんの漫画は好きで何作か読んでいたのですが、代表作である『同棲時代』は未読でした。その『同棲時代』を「スキマ」で読むことができるとは……! ありがたい限りです。
今日子21歳、次郎23歳。夢と希望に満ち溢れた若者――かといえばそうでもなく、どちらかというと無気力。
このままのほほんと暮らしていきたい気持ちと、型通りの人生を歩みたい気持ちとの間で揺れ動き……。
主人公2人もですが、登場人物のほとんどがほんのり不幸です。若いままで時が止まればいいのに、年をとるにつれ「生活」に押し潰されていく。しかし中にはそれ(生活)を平気でこなしていく人もいて、そのことがまた主人公2人を軽く絶望させる……。
少し古い漫画ですが、若者の将来への不安や焦りなど普遍的な心情が描かれているので、現代の人が読んでも共感できるのではないかと思います。いや、いつの世だとしても共感する人はするし、しない人は全くしない――そういう漫画かもしれません。
ヒューマンドラマ
『キーチ!!』新井英樹
キーチ!!|スキマ
「その子をその日に産み落とすなら、またとない男らしい男に育つだろう。」――占いどおりにたくましく成長したキーチこと染谷輝一。3歳のキーチは、寡黙、泣かない、すぐに手が出るという問題児として近所で有名だった。
キーチの無鉄砲ぶりに振り回されながらも、優しい父と明るい母はキーチに精一杯の愛情を注ぐ。そんな幸せな染谷家がある理不尽な事件に巻き込まれ……。
前半でキーチの幼少期を、後半で小学5年生になったキーチを描いています。
ちょっと幼少期編が長いかな、という気もするのですが、いかにしてキーチがカリスマ性やふてぶてしさに磨きをかけていったかという説得力を持たせるには、これくらい丁寧に幼少期を描く必要があったのかもしれません。
小学5年生になったキーチが、参謀の甲斐君、いじめられっこのミサトと出会ってから話は急展開。キーチは小学校の悪を蹴散らすだけに留まらず、よりスケールの大きい、そしてより胸糞悪い事件に立ち向かうことになります。
続編『キーチVS』では大人になったキーチと甲斐君が登場します。
2人は果たして腐った日本社会を変えることができるのか……!?
『狂人関係』上村一夫
狂人関係|スキマ
昭和の絵師・上村一夫が、画狂人北斎を描く……! 第1話は、北斎が広重に嫉妬していた……!? という物語です。もちろんフィクションを織り交ぜているとは思いますが、2人がライバル関係にあったというのはどうやら本当のことのようです(周りが勝手にそう扱っただけという可能性もありますが)。
『葛飾北斎』と『歌川広重』のライバルストーリー。二人の世界的浮世絵師
その後は広重や歌麿、滝沢馬琴がちょこっと登場したりもしますが、主に北斎の弟子(架空の人物のようです)の色恋や暮らしぶりが描かれています。
アウトロー
『殺し屋1』山本英夫
殺し屋1|スキマ
犯罪の絶えない街・新宿――そこにある通称「ヤクザマンション」の一室で、安生組の組長が人知れず惨殺された。
犯人は「イチ」――泣き虫の元いじめられっこの青年だった。およそ事件には似つかわしくないイチであるが、彼はある人物に操られて殺人マシーンと化していた。
安生組の若頭・垣原は組長が拉致されたと考え組長の行方とその犯人を捜索し始めるのだが、まだ見ぬイチの存在が日増しに彼の中で大きくなっていき……。
安生組の若頭・垣原は、数々の拷問に耐えて(というかむしろ喜んで?)ヤクザ界でのし上がった男です。そんなドMの垣原が、イチの犯行現場を目にして「どんなサディストなんだろう……」と期待に胸を膨らませるのは致し方ないことなのかもしれません。しかもその痛めつけ方にも愛や美しさを求めるという注文の多い変態っぷり。
ではイチの方がまともなのかといえばそんなことはなくて、イチはイチで殺害現場で性的興奮を覚えるド変態です。
その他相手に張り合いたいというだけで平気で人を殺す双子や、ここではちょっと書きづらい性癖の持ち主が登場したりもします。
犯罪、暴力、変態のオンパレードです。
イチと垣原、2人の大変態が対峙したその時、一体何が起こるのか――!?
『蟻地獄』武村勇治
蟻地獄|スキマ
芸人の「インパルス」板倉俊之の小説『蟻地獄R』が原作。
二村孝次郎は幼馴染の修平と共に裏カジノでイカサマをして金を稼ごうとする。しかし計画は筒抜けで、修平は人質としてヤクザに監禁される。孝次郎は修平を救うために5日以内に300万円を用意しなければならなくなり……。
お金が欲しくてイカサマをしたのに、別の方法でお金を集めなくてはいけなくなった……それも300万円という大金を……!
絶体絶命の主人公が思いついた方法がエグい……! そして計画は思わぬ方向に転がって……。
ヤクザ以外に強敵が現れるのですが、主人公とその強敵とのやりとりが大変スリリングです(肉弾戦ではなく頭脳戦)。これだけ機転が利くのに、主人公は何故イカサマなどに手を染めてしまったのか……(いや、機転が利くからこそ世の中をなめてかかっていたのか……イカれたヤクザもそんなようなことを主人公にいっていました)。
この作品を読んで、「裏社会に関わるとこのように恐ろしい目にあうのだ……」と改めて肝に銘じました。
『IWGP[電子の星]』朝基まさし
IWGP [電子の星]|スキマ
石田衣良『電子の星 池袋ウエストゲートパークIVR』が原作。
大金を残して行方不明になった親友・キイチを捜すために上京してきたテル。テルはネットの情報から、池袋の「マコト」にキイチの捜索を相談すべく、まずはマコトを探し始めるのだが……。
キイチを捜す内、2人はあやしげなDVDの存在を知り……と、これも『蟻地獄』と同じく、「裏社会って恐ろしい……」系の話です。
とんでもなく猟奇的なイベントがこの日本で行われていて……。その内容はまるで映画『ホステルR』のよう……!
私はスプラッターやグロは割と平気な方なのですが、金持ちが金に飽かせて……とか、権力者が弱者をいたぶる……といった設定がプラスされるとどうにも胸糞悪くて受け付けません。『IWGP[電子の星]』や『ホステル』が完全なるフィクションであることを祈ります……。
ホラー
『地獄変』日野日出志
日野日出志 作品集 地獄変|スキマ
なんと! 日野日出志さんの代表作が無料で読めてしまうとは……! 私はこの漫画も普通に購入しました……。
血みどろ、狂気、歪んだ家族愛……! スプラッター漫画好きで未読の方は是非!
日野日出志さんの漫画はかなり充実していて、その他、
などがあります(『蔵六の奇病』が公開終了になってしまったのは残念……)。ほとんどの作品を無料で読むことができます⇒「スキマ」日野日出志さんの作品ページ
『もののけ草紙』高橋葉介
もののけ草紙|スキマ
掌に彫った目の刺青は伊達じゃない! 家なし、親なしの根なし草、お座敷芸人「手の目」は、襲いくる妖異をものともせず、不思議な能力を使いふてぶてしく世を渡る!
威勢のいい少女時代も魅力的ですが、大人になった「手の目」がなんとも粋で妖艶です。
『魔女黒井ミサ』古賀新一
魔女黒井ミサ|スキマ
『エコエコアザラクR』の続編(『エコエコアザラク』は残念ながら「スキマ」では読めません……)。
1話からいきなり「美女の腸」などというぶっ飛んだアイテム(?)が登場します。腸つながりで海野十三の小説「生きている腸」を思い出したりして……。
ちょいグロ好きな方は是非どうぞ!
その他のホラー漫画
犬木加奈子、御茶漬海苔、呪みちるなどの漫画も読むことができます。
ガロ系
『漫画家残酷物語』永島慎二
漫画家残酷物語|スキマ
漫画家や、漫画家になりそこねた人々を描く短編漫画集。人間の悲哀を感じさせる……端的にいうと暗い話の連続です。儲け主義ではなく、芸術的な漫画を描こうという志を持つ人物が悲惨な目にあうことが多いです。
林静一さんの『赤色エレジーR』がお好きな方はこれもお気に召すかも……(ちなみに『漫画家残酷物語』の方が古いです)。
その他のガロ系漫画
山田花子、平口広美、ひさうちみちおの漫画も見つけたのですが……。
山田花子さんは24歳で自殺してしまったという漫画家で、作品もやはり精神的に結構くるものがあるのであまり安易におすすめできないかと……。
平口広美さんは……絵はものすごくうまいのですが……内容が……ちょっと特殊すぎて……。エロ○ロナンセンス好きな方はよかったらお読みになってみてください。
ひさうちみちおさんの漫画もエ○グロナンセンスなものが結構あるのですが、スキマで読めるひさうちさんの漫画はそれほどドギツくありませんでした。人生のあわれを感じながらもちょっとクスッと笑ってしまう……そういった短編漫画がいくつか収録されていました。
あとがき
2018年2月のリニューアルによりシステムが少し分かりづらくなってしまったのが残念ですが、無料で読める漫画は続々と増えていて嬉しい限りです。
破天荒な人生をコンテンツ化している卯月妙子さんや、バラエティ番組でお馴染みの奇才・蛭子能収さん(この方もガロ系)の漫画なども追加されています。
他の漫画アプリではなかなか見られない攻めたラインナップといえるのではないでしょうか。
また「スキマオリジナル作品」もかなりの数がありまして、これだとチケットもコインも消費せずに読むことができます。なかなか面白い漫画が多いです。
今後も「スキマ」でおすすめ漫画を発見したらこちらでご報告しようと思います。