『椿と目覚まし 他13篇』(短編小説集)
「起きて、働いて、食べて、寝て――たゞひたすらにそれらを繰り返す日々を送りたいものだわ……何も考へることなしに!」
出来得る限り生活の無駄を廃して暮してゐる蝶子。
彼女は【思考】を目下一番の厄介ものと感じてゐる。
彼女がそのやうな無味乾燥とした人格になった理由とは――。
表題作「椿と目覚まし」他、美しい母親が、高熱のため抜けた娘の意識をうどんのように吸う「熱のあと」、見るもおぞましいできものを口唇にこしらえた夫、その夫に愛を試される妻「口紫」など、全部で14作の「奇妙な味」の短編小説を収録。
全作旧かな遣ひ(漢字は新字体)。300円。
収録作品(全14作)
「椿と目覚まし」
「海辺の出来事」
「猫の集会」
「熱のあと」
「血染めの回覧板」
「猫庭」
「風呂場の怪婦人」
「猫戯(じゃ)れる」
「漢方薬が動く」
「白い三角」
「変化(へんげ)」
「人面疽は生きてゐるか」
「わがまゝ」
「口紫」
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試し読み
『椿と目覚まし』の収録作品「口紫」(現代かな遣い版)を載せておきます。
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