青森県といえば恐山! のイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事ではその恐山とあわせて、同じ青森県にある「寺山修司記念館」、そして知る人ぞ知る珍スポット「キリストの墓」のご紹介をさせて頂きます。
むつ市に恐山、三沢市に寺山修司記念館、三沢市の南西に位置する新郷村にキリストの墓があります。
※ 以下に出てくる時間や値段のデータはいずれも2016年4月現在のものです。
年月が経つと変更される可能性がありますのでご注意ください。
恐山
恐山――死者の魂が行くといわれている山
恐山 - 下北半島の観光
比叡山・高野山とともに、日本の三大霊場の一つに数えられている恐山。「この世」にいながら「あの世」に近づける場所とされています。
開山期間 | 毎年5月1日~10月末日 |
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開門時間 | 6:00~18:00(10月中旬から末日までは6:00~17:00) |
大祭典 | 7月20日~24日 |
秋詣り | 10月の体育の日が最終日となる3日間 |
入山料 | 個人 1人500円 |
イタコさんに会いたい場合は、大祭典か秋詣りの時に行ってみてください(普段はあまりお目にかかれないようです)。
到着前には、ただ単に荒涼とした山なのかな……というイメージを持っていたのですが、お寺や温泉、果ては宿泊施設まであると知りちょっと驚きました。
入口ギリギリまで車で行けて、観光バスの姿もチラホラしたりしています。
が、なァんだ……とガッカリすることはありません。
むつ市街を抜け、恐山方面に進むとそこは山道、点々と置いてあるお地蔵さん、その横でユルユル回る風車……と、道中からして異様なムードがムンムンですのでご安心あれ!
「霊場恐山」と書いてある門をくぐってから、恐山入口まで車で10分~15分ほどかかったかと思います。
その間に三途川(さんずのかわ)がありました。
正津川 三途川(さんずのかわ)
これが霊界と俗界との境にあるという「三途川」……!
しかし奥に「正津川」との石碑もチラリと見えています。
本当は「正津川」という川なんでしょうか……!? 恐山の傍に流れているから、いつの頃からか通称三途川になったということなんでしょうか(もう正式名称にしちゃえばいいのに)……!?
ちなみに、上の石碑や、恐山内のおさいせん箱の足元に、錆びた鈴が大量に落ちていました。
相当年代もので、全体が赤ッ茶けている代物です。こういうものや、風車だとかの小物類がイチイチ怖いのです……!
売店
恐山受付の横に売店があります。
私は帰りに寄ったのですが、行きにチラッと覗いてみるのもアリかもしれません。
というのは、恐山のあちこちでミニチュアのお地蔵さんとでもいうべきものを見かけたのですが、これは売店で購入することができ、記念に自分の名前を書いて山内に置いてくることができるらしいのです。
行きに知っていれば私もきっとやったのになァ……!
ちなみにお地蔵さん以外に個人の方の位牌なども置いてありましたが、これは恐らく祈祷や供養を受けたのだと思われます(祈祷・供養時間は6:30~、11:00~、14:00~ということです。上記大祭典・秋詣り期間は別設とのことなので、ご興味ある方は調べてみてください)。
いよいよ恐山に入山
参拝は最短順路で約40分と思ったより長かったです。
しかしお寺や仏像がいくつかあるし、風景も場所場所によって微妙に異なっていて飽きません。
恐山に入ってちょっと歩いた所の風景
……とても静かです。聞こえるのは風車のユルユル回る音ばかりです。そしてものすごく硫黄くさいです(地面が黄色くなっている所があったりする)。
血の池地獄
血の池地獄(本当にチョット赤い)などの地獄シリーズもよいですが、極楽浜という浜が実に綺麗でした(砂が真っ白で、お骨を砕いたものだと言われたら本当かもと思えてしまうくらい)。
地獄巡りを終えると、そこには美しい極楽浜が……!
そして所々に積まれた小石の山が、
一つ積んでは父のため、二つ積んでは母のため
賽の河原地蔵和讃
を思い起こさせます。
ホントにもう、こういった演出がたまらなくニクイのです……!
ちなみに上でも書きましたが、イタコさんは大祭典や秋詣りなど、特別なイベント時以外にはアンマリいないようです。
私もイタコさんを見ることはできませんでしたが、それでも充分楽しめました。
おすすめのお土産品
帰りにはお土産をタンマリ買い込んでしまいました(おかげで素寒貧に……)。
「地獄と極楽」という漫画本、般若心経手拭い、お守りプレートなどなど盛りだくさんです。
これは「佛現香」というお線香です。
火をつけると、灰にお地蔵さまのお姿と聖号が現れるというものです。
うーん、アリガタイし面白いしいい香りだし、いいことづくめとは正にこのことです。
寺山修司記念館
寺山修司とは
ご存知ない方もいらっしゃるかもしれないので少しご紹介しておきますと、寺山修司さんは、詩人であり歌人であり作詞家であり映画監督でもあり……という多才な芸術家です。
しかし何と言っても有名なのが、「天井桟敷」というアングラ劇団を主宰していたことかと思います。
「天井桟敷」は「見世物の復権」を唱えて結成されたとのことで、60~70年代にかなりアヴァンギャルドな演劇を行っていたようです。
上記の本や、
こちらのポスター集などでその一端をうかがい知ることができます。
私は寺山修司さんが監督したカルト映画
や、
間引かれしゆゑに一生欠席する学校地獄のおとうとの椅子
『田園に死す』恐山の章
昭和十年十二月十日に
ぼくは不完全な死体として生まれ
何十年かかゝって
完全な死体となるのである
『墓場まで何マイル?』所収「懐かしのわが家」より
などというちょっと物騒な短歌や詩が好きです。
この寺山修司さんの出身地ということで、青森県三沢市に「寺山修司記念館」があるのですね。
寺山修司記念館
記念館について | 三沢市寺山修司記念館
開館時間 | 9:00~17:00(入館は16:30まで) |
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入館料 | 個人310円(企画展開催時は別料金220円) |
休館日 | 毎週月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月29日〜翌年1月3日) ※8月の第1、第2、第3月曜は開館予定 |
寺山修司さんの記念館という割には、思ったよりおとなしめの外観だったのでちょっとガッカリ……。
「天井棧敷館」(渋谷にあったという「天井桟敷」の劇場)
天井棧敷館 渋谷区渋谷3―11―7 この住所がもし正しければ、若い頃の記憶もまんざらではないということ。間違っていれば、まあ、それはそれでしょうがないか。芝居を論じ、酒に溺れ、女のケツを追う。ありふれて不朽の青春てヤツさ。 pic.twitter.com/eKC4AJUJym
— 三沢市寺山修司記念館 (@shuji_terayama) 2016年1月16日
くらいドギツイ感じの方が、寺山修司を知らない人でも「お、なんだなんだ……!?」と興味を惹かれるのでは……。
地味な外観だと、「偉い作家かなんかの記念館なんだな」とスルーされてしまう気がしました。
しかし通りがかりの人が立ち寄るというより、ファンの方がここ目当てで旅行に来ることの方が多いんでしょうか?
第一章 田園に死す | 常設展示 | 三沢市寺山修司記念館
内部の展示は凝っていて面白かったです。
机の引き出しに資料や写真が入っていて、それを懐中電灯で照らして見るという展示の仕方でした。
展示室には演劇で使ったという小道具の人形がいい感じで飾ってありました。
物販コーナーで「天井桟敷」の舞台「身毒丸」と「青森県のせむし男」のVHSを購入しました。
私が行った時にはDVDがなかったのです(数年経っているので、今はもしかしたらDVD化されているのかも?)……。
VHS……果たしていつまで観ることができるのでしょうか……。
「キリストの墓」と「キリストの里伝承館」
キリストの墓
新郷村|キリストの墓
ゴルゴダの丘で磔刑に処されたはずのキリストが、実は秘かに日本に逃れてきて、青森県新郷村で106歳の天寿をまっとうした……というトンデモな伝説があるそうです。
しかし村の誰かが勝手にそう言い出した訳ではなく、昭和十年のある日のこと、茨城県の竹内さんという人が、「うちの文庫から、この村にキリストが住んでたって書いてある古文書が見つかったんだけど」と、唐突に新郷村を訪ねてきたらしいのです。
村人たちにとっては青天の霹靂のことで、さぞかし驚いたに違いありません。
そして竹内さんは村長の案内で、小高いやぶの中にあった土まんじゅうを見つけて、「これ、キリストの墓」と言ったのだとか……(この時、「アワワ、オラ、あそこでいつか立ち○○しちまっただヨ……!」とかいって腰を抜かした村人がいてくれたりしたら嬉しい)。
ちなみに現在は土まんじゅうだけでなく十字架が立っています。
向かいにはキリストの弟・イスキリの墓があります。
で、はじめはうろたえるばかりであった村人たちも徐々に落ち着きを取り戻し(この辺想像)、そう言われればそれっぽい風習や言葉がある……と思い当たるものがいろいろあったようで、それらが「伝承館」で紹介されています。
キリストの里伝承館
開館時間 | 9:00~17:00 |
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入館料 | 高校生以上200円 |
休館日 | 毎週水曜日(夏休み期間中は無休) ※11月初旬~4月末までは冬期休業のようです |
「キリストの里伝承館」で展示されていた額に十字が書かれた人形
中でも面白かったのが、新郷村では子供を初めて戸外に出す時、子の額に墨で十字を書くという風習があるそうなんです。
キリストと関係なかったとしても、何やらいわくありげでステキな風習ではありませんか……!
渡来したキリストは「十来太郎大天空」と名を改めた、とか、よくよく考えるとちょっと「ン……?」となる点もないではないですが、いずにしろロマン溢れる粋な伝説だと思います。
誰かの嘘だというなら、何故こんな突拍子もない嘘をつく気になったのか教えてほしいものです(できれば、「オラがキリストのふりして書いた冗談の遺言がヨ、何かの弾みで由緒ある場所へ紛れ込んじまってヨ、後世伝説だとか何とかそんな大層なことになるとは夢にも思わなんだヨ……!」とかいう感じだと嬉しい)。
しかし、
村民たちは純粋な気持で伝説を信じ、言い伝えて今日に至っている
新郷村パンフレットより
とのことなので、なんだか胸がホンワカしてしまいます。
あまり突っ込んだりなんだりは野暮というものなので、ここらでやめにしたいと思います。
という訳で皆様も機会があったら是非上記おすすめスポットへ遊びに行ってみてください!
『妖怪ハンター 地の巻』所収の名作「生命の木」、東北のかくれキリシタンの話ですが、もしかして新郷村がモデルなのかも……?
追記:「釈迦の墓」と「ピラミッド」も青森県にあるそうです
後に知ったのですが、なんと「釈迦の墓」も青森県にあるそうです……!
また、「ピラミッド」もあるのだとか……。
青森のノリには正直ついていけないwwwwwwwwwwwwww pic.twitter.com/Y1MeKChZL4
— まつたけ (@denpanohikari) 2013年8月15日
青森、恐るべし……!
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