カルト映画とは
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熱狂的なファンがいる隠れた傑作(または問題作)という意味合いの映画です。
この記事では80年代邦画を中心に、厳選した10作のカルト映画をご紹介します。
目次
狂い咲きサンダーロード
はみ出し者連中からもはみ出してしまう究極のアウトロー・仁! 刹那的な生き様にシビれる!
街中の暴走族が一堂に会し、「愛される暴走族」になるべく話し合いをしている所に、「魔墓狼死(まぼろし)」の特攻隊長・仁が現れた。荒くれ者の仁は権力におもねる暴走族も、OBが所属するスーパー右翼も気に食わず、次第に街で孤立していき……。
服装や音楽がちょっと時代を感じさせますが、「サンダーロード」という架空の街が舞台なので、異世界と思って観れば違和感もなくなるかも……?(途中から本当にアナーキーな雰囲気になっていきます)
主人公仁は無茶苦茶な荒くれ者で、絶対に友達にはしたくないタイプの人間ですが、物語のキャラクターとしてはとても魅力的です。
仁を演じた山田辰夫さんがものすごくハマッています。ちょっと高めのハスキーボイスが仁のヤンチャなキャラにピッタリです。
追悼のざわめき
画像や予告編にだまされてはいけません! この映画は猛毒です!
出典:映画.com
連続殺人鬼である青年とマネキン、浮浪者と切り株、小人の兄妹、美しい兄妹……4組のカップルが織り成す醜くも美しい物語。
画像や予告編はなんだか叙情的な雰囲気を醸し出していますが、実はトラウマ注意の問題作です。
美しい場面もあるのですが、汚らしい場面との落差が激しすぎるのですよね……。
しかしただ綺麗なだけだったら、ここまで伝説的な映画にはならなかっただろうと思います。
仁義の墓場
正に狂犬! モデルは実在した伝説のヤクザ・石川力夫
「大笑い、三十年の馬鹿騒ぎ」! 親分に刃向かい、親友をも平気で裏切る! ペイ(ヘロイン)漬けになった一匹狼のヤクザが行き着く先とは……。
う~ん、無茶苦茶! 同じ無茶苦茶でも、『狂い咲きサンダーロード』の仁の無茶苦茶ぶりとはちょっと種類が違います。
仁にはまだどこか純粋で憎めない所がありますが、石川力夫はクズすぎてドン引きします……。予告編に「破天荒な疫病神」という文句が出てきますが言い得て妙です。しかしそれ故かものすごく迫力があります。
骨のシーンと淫売宿のシーンは圧巻。
タチの悪い白昼夢を見せられているような気分になること請け合いです。
(秘)色情めす市場
やさぐれすぎィ! 釜ヶ崎でたくましく生きる女性を描く
出典:teruterufox.up.n.seesaa.net
大阪のドヤ街で体を売って生計を立てているトメ。同じく売春婦である母、知的障害を持つ弟と共に暮らしている。殺人事件の指名手配写真にそっくりな男、訳ありカップルなどとの交流を経た後に、トメが思うこととは……。
題名でちょっと「ウッ」となってしまうのが本当に惜しい名作です(会社が宣伝のためにこの題名にしたそうで、監督自身は「受胎告知」という題名を考えていたそうです)。
当時実際の釜ヶ崎でゲリラ撮影をしたり(70年代半ば。かなりの危険地帯だったらしいです)、ほとんどが白黒画面で一部場面のみカラー、という実験的な試みも面白いですが、やはり何と言っても主演女優の芹明香さん、この方がいなかったらこの映画は成立しません。
あんなに気だるげでカッコイイ女優さんは他にいません。
ちなみに、『仁義の墓場』はこの映画にものすごく影響を受けているそうで、淫売宿のシーンはこの映画へのオマージュらしいです(芹明香さんも出演しています)。
江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間
日本のキング・オブ・カルト、石井輝男監督のカルト映画代表作!
人見広介は、自分と瓜二つであった菰田源三郎が亡くなったことを知る。人見は今後菰田源三郎として生きることを決心して……。
『江戸川乱歩全集』とタイトルで謳っているものの、主にベースになっているのは乱歩の小説『孤島の鬼R』と『パノラマ島奇談
R』です。
あとはちょこちょこ要素が入るくらいで、全集というのはちょっと大げさ……?
しかし、DVD画面のメニューでウネウネと不気味に踊る暗黒舞踏家・土方巽さんと、衝(笑?)撃のラストシーンだけでも見る価値は充分にあるかと思います。
女囚701号 さそり
斬新な撮影方法! そしてなんといっても梶芽衣子さんの目力がスゴい!
悪徳刑事・杉見に利用され、挙げ句の果てに捨てられた松島ナミ。ナミは杉見への殺人未遂により女子刑務所に収監される。
女子刑務所で看守や女囚から目をつけられ攻撃される過酷な日々を送りながらも、ナミは杉見への復讐を虎視眈々と狙っていた――。
復讐に燃える梶芽衣子さんがコワ美しい……!
また、床が赤く光ったり、場面転換で背景セットがくるりと回転したり、ある登場人物が突然鬼婆に豹変したりと、撮影方法がかなり実験的で観ていて飽きないです。
女囚や看守も濃いめのキャラが多くてマンガチックです(原作が漫画なので当然といえば当然ですが……)。
太陽を盗んだ男
サスペンス? 幻想? アクション……? ひと口では語れない、これぞまさしくカルト映画!
出典:CINEMA TOPICS ONLINE(閉鎖)
中学教師が原爆を手作りしちゃっててんやわんや!
そこに強敵・菅原文太さん扮する刑事が現れて……。
ジュリー(沢田研二さん)演じる城戸誠の物憂げな表情がたまりません。
何か虚しさのようなものを抱えて生きてきたんでしょうか。
刑事の不死身っぷりと、皆割と原爆を手荒に扱っている所に、ハラハラさせられながらもちょっと笑ってしまいます。
サスペンス要素もあり、幻想的なシーンもあり、アクションもあり、笑いもある……ひとつのジャンルでは収まりきらないスケールの大きい映画です。
鉄男
これぞサイバーパンク! とにかくカッコイイ映像に注目!
ある朝男が目覚めると、自らの頬に金属のトゲのようなニキビができているのを発見して……。
これは小説では表現できないでしょうし、漫画でも趣きが全く違ってしまいそうです。正に映画ならではの映像体験!
ストーリー? 気にしない気にしない!
ちょっと長めのミュージックビデオのような感覚で視聴することをオススメします。
GONIN
登場人物たちの異様な行動…そしてそれを陳腐に感じさせない役者さんたちの怪演が素晴らしい
それぞれの事情を抱えた5人の男たちが、ヤクザの金を強奪する計画を立てる。金を奪うことには成功したものの、ちょっとしたミスからヤクザに身元を特定され、5人は凄腕のヒットマンに狙われることに――。
ストーリーも面白いのですが、とにかく異常な雰囲気のシーンが多々あります。特にある家の中の惨状、そのおぞましい現場で行われる登場人物たちの奇行は、ほぼホラーといっても過言ではないかと。
ビートたけしの怪演、モッくんの妖艶な美しさ、竹中直人のハシャギっぷりにも注目です。
ビデオドローム
物との生々しい合体! 気色悪いがなんだかクセになる!
出典:予告編
過激な番組を売りにしているケーブルTV局。その局の社長であるマックスは、社員が偶然見つけたというスナッフビデオ「ビデオドローム」に興味を惹かれ……。
クローネンバーグ監督の撮る映像はなんだか気色が悪いです。
『鉄男』でも物との合体があるんですが、どちらかというと生物が物に侵食されるというイメージがあります。
しかしクローネンバーグ監督の場合、なんだかナマモノ感が強いので、よりグロテスクな気がします。
『裸のランチa』や『イグジステンズ
a』もキモチワルイですが、不思議映像満載の『ビデオドローム』がやはりオススメです。
後書き
洋画が1作であることについて
邦画9作、洋画1作のおすすめとなりました。
洋画は洋画でまた別にまとめた方がいいかな……? という気もしたのですが、『ビデオドローム』以外にものすごくハマッた! というカルト映画が洋画だとアンマリないのですよね。
や、
なども好きっちゃ好きなのですが……。
いつか洋画カルト映画まとめを作ったら、『ビデオドローム』はそこに移動させるかもしれませんが、今の所ここに載せておこうと思います。
「カルト映画」について
これは人により感じ方が違うかもしれないので難しい所です。
広義では「熱狂的なファンがいる映画」ということで、大作も含むようなのですが、狭義では「熱狂的なファンがいる隠れた傑作(または問題作)」という感じになるようです。
なので、
や、
などは、前者と後者でカルト映画かそうでないか意見が真っ二つに分かれそうです。
それと、クソ映画がカルト映画と言われることもあるので、カルト映画を観る際には、その映画が傑作(または問題作)なのか、それともクソ映画なのか、鑑賞前に調べておいた方がいいかもしれません。
邦画クソカルト映画の例
洋画クソカルト映画の例
しかしこれらはこれらで突っ込み所が満載なので、そういった意味では楽しめないこともない……かもしれません。
詳しくは下記の記事をご覧ください

60年代~80年代カルト邦画について
それにしても日本の60年代~80年代カルト映画は層が厚いです!
おすすめした映画以外にも、
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ピーターさんがかわいい……! パッケージがちょっと怖いですが内容はシュールで???な感じです。
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『夢二』『ツィゴイネルワイゼン』『陽炎座』……いずれもあやしく、美しく、儚げな物語であります。
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白塗り、そして「東京都新宿区新宿字恐山」……! 前衛的としかいい表しようがない映画です。
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まず奥崎謙三さんのインパクトが凄まじいのですが……展開が進むにつれて、戦争の恐ろしさを痛感させられます。
などがあります。
戦闘シーンがほとんどないのに恐怖を感じる戦争映画【野火、ディア・ハンター、ジョニーは戦場へ行った、風が吹くとき等】
『ゆきゆきて、神軍』の紹介をしています。
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