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おすすめの韓国バイオレンス映画

time 更新日:  time 公開日:2018/08/24

少し前に、ABEMAで『殺人の追憶』を放送していた。私はこの映画を鑑賞するのは2度目だったのだが、不思議と初見時より今回の方が楽しめた。

といったようなことがあったのと、以前から「その内まとめたい」と考えてもいたので、この機におすすめの韓国バイオレンス映画について書いてみようと思う。

『カル』

ハード・ゴア・スリラーと銘打たれた映画。

随所に様々な謎が散りばめられていて、1度観ただけでは全容を理解できない――ということで、当時(日本では2000年に公開)は『「カル」の謎a』という謎解き本まで出版されるなどして大いに盛り上がった模様。

しかし私は謎解き要素よりも血と内臓のドバドバ具合、それでいて冷たく硬質な雰囲気があることに圧倒された。

人間をパーツとしか見ていないという点で、ホラー映画『ブラッド・ピーセス/悪魔のチェーンソーa』『悪魔のはらわたa』などと通ずるものがあるけれど、テイストはまるで異なる(私はいずれの映画も好きであるが)。

幼い頃に得られなかった「きちんとした親の愛情」が欲しい――というのが動機といえば動機なのかもしれないが、方法がまるで的外れであるし、親の愛情は唯一無二のものであって代わりになるものはない。
しかし犯人はそれを承知で猟奇殺人を行わざるを得なかったのだろう――傍目には分からないが、犯人は恐らく静かに狂ってしまっているのだ。

もしかしたら現実の殺人事件の犯人も、パッと見はごくごく普通の人間に見えるものなのかもしれない。

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『殺人の追憶』

この記事の冒頭で触れた映画。数年ぶりに再見したのだが、とんでもなく後味が悪かった

ある村で女性が被害者である連続殺人事件が起こる。事件が起こる晩に、必ずラジオで同じ曲がかかることが判明して――というストーリーももちろん面白いのだけれど、事件を追う刑事たちがそれぞれ変化していく様子も興味深い。

暴力上等だった田舎の刑事が、自身の捜査方法に疑問を持ち始めておとなしくなっていくのとは対称的に、スマートだった都会出身のエリート刑事が犯人憎しのあまり感情的な行動に走ってしまう――。
いやでもその気持ちもよく分かる、本当にまァなんとも憎ったらしい犯人なのですよ……。

これが実話がもとになっているというのだから世も末……。
同じ韓国映画である『チェイサーa』も現実にあった事件をもとにしていて、これもかなり後味が悪かった。

韓国ではおっかない事件がたくさん起こっているようで恐ろしい……といいつつ、日本にも『凶悪a』や『冷たい熱帯魚a』があるので、よそ様のことはとやかくいえそうにない……?
結局どこの国に限らず、凶悪犯罪を犯す人間がある一定数存在する……ということなのでしょうかね。

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『母なる証明』

『殺人の追憶』のポン・ジュノ監督といえば『母なる証明』も大変後味&胸糞悪い。
殺人の容疑をかけられた知的障害を持つ息子のために母が奮闘する……! という話で、バイオレンス度は低めなのだけれど気色悪さは抜群かもしれない。

いろいろな負い目があることも手伝ってか、母親は息子に異常なほどの愛情を抱いている――息子を救うためなら他人を犠牲にするのも厭わない――母親のエゴをまざまざと見せつけられたようでゾッとした。

しかし『カル』にしても『母なる証明』にしても、「きちんとした親の愛情」とは一体なんなのかと考えさせられる。『カル』はともかくとして、『母なる証明』はこれはこれで母親としては正しいような気もする(だからこそこの題名……半分皮肉なのだろうが)。

少年は残酷な弓を射るa』と、この『母なる証明』が私の中の少子化促進映画二大巨頭かもしれない。
子供に愛情を抱けなくても抱きすぎてもよくないという……子育て難しすぎィ

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『オールド・ボーイ』

ベタベタかもしれないけれどやはりこの映画は外せない。
私が初めて観た韓国映画がこの『オールド・ボーイ』で、残酷描写も凄まじいがスタイリッシュな映像もあって「韓国映画ってこんなにレベルが高いのか……!」と瞠目させられたものだった。

なぜ15年も監禁されていたのか――の理由はあまりにも理不尽。いや、主人公に全く非がないとはいえないのかもしれないが、それにしても……。
この『オールド・ボーイ』や、サム・ライミ監督の『スペルa』を観ると、逆鱗というものは人それぞれで、気をつけてはいても踏んでしまうことがある地雷のようだと感じる。そしてその地雷を踏んだ人も踏まれた人もどちらも不幸になる。芥川龍之介の「人生は地獄よりも地獄的である」という言葉を思い出す。

それと『カル』と同じようなタブーが出てくるのだけれど、『カル』ではその点についてはさほど気にならなかったのが、『オールド・ボーイ』ではだいぶショックを受けた(『カル』でも全く抵抗がなかった訳ではないが……)。
ただ単に『オールド・ボーイ』を先に観ていたから慣れたというのもあるのかもしれないが、それだけでもない気がする。この違いについては自分でもよく分からない(ちなみにこれ系のタブーで一番げんなりさせられた映画は『セルビアン・フィルムa』)。

『オールド・ボーイ』はパク・チャヌク監督の復讐三部作の2作目にあたる。他の2作『復讐者に憐れみをa』『親切なクムジャさんa』もやはり胸糞悪い。
いやはやなんとも凄まじい三部作があったものです……。

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『悪魔を見た』

レーティングR18。R18の映画っていやらしい描写についての規制が多そうだけれど、この映画は恐らく残酷描写が引っかかったのだと思う(いやらしい場面も少しあるが)。
穴が開く貫通チョン切れる――などなど、凄まじく痛そうなシーンが頻出する(その割にそれほどグロくはないのが不思議)。

で、ドイツやアメリカのスプラッター映画のように「ヒャッハー!」という気分になるかというと全くそんなことはなくて、むしろどんよりとなる。主人公がやりきれない気持ちになるのはもっともだが、よくいう「復讐は何も生み出さない」という言葉が脳裏をよぎる。

主人公を演じるイ・ビョンホンが大変イケメンなのだが、もしもビョン様目当てでこの映画を鑑賞したオバサマがいらっしゃったとしたら、どんな気持ちでスクリーンを見つめていたのだかインタビューしてみたいものである。
それと『オールド・ボーイ』のチェ・ミンシクが悪者を演じているのだがこの映画でもひどい目に遭っている(自分も相当非道いことをしているからなのだけれど)。

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『ビー・デビル』

田舎の閉塞感が「津山三十人殺し」を彷彿とさせる。
太陽が眩しかったから」――的なシーンが印象深い。
ただ前半がちょっと長い……、いや、ためてためてワーッとなる図式だから、仕方ないといえば仕方ないのだろうが……。

これもR18なのだが、『悪魔を見た』よりは残酷描写は少なめかつ控えめ。R15でもよさそうな……(しかしこういうレーティングの線引きって難しいだろうなァ……)。

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『殺人の告白』

連続殺人事件の時効成立後に、その犯人だと名乗る男が事件の告白本を出版する。その事件を担当していた刑事は、本に書かれていない最後の事件についての謎を明らかにすべく、犯人と共にテレビ討論会に出演する。そこに「自分こそが真犯人だ」という男が電話をかけてきて……。

監督が、『殺人の追憶』の題材になった「華城連続殺人事件」のその後を想像して作製したのだとか。
まずなんといってもストーリーが面白い。それに毒蛇使いやアーチェリー少女など、登場人物のキャラも濃いめ。カーチェイスシーンは少し長いがハラハラさせられる。暗がりのシーンでは、ある人物が見ているであろう暗視カメラの映像が流れ、暗い画面でよくありがちな「何が起こっているか分からない」を回避したうまい見せ方をしていた。

ここで紹介している映画の中では泥臭さが控えめなので、韓国バイオレンス映画が初めての方でも見やすいかもしれない。

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『下女』

ある音楽教師の家に下女がやってきた。音楽教師もその妻も、豊かな生活を保つべく馬車馬のように働いていた。
そんな生活を送る内、音楽教師はふと魔が差して、下女とただならぬ関係になってしまい……。

ちょっと偏屈な下女に弱みを握られネットリとまとわりつかれる音楽教師。結局良心の呵責に耐え切れず、妻に浮気したことを打ち明けるが、妻はうわべだけでも今までどおりの生活を送ることを望む。
家も生活も既に下女に蝕まれて破綻しているというのに、家族の誰もがなぜだか逃げ出そうとしない――日野日出志の漫画『はつかねずみ』と相通ずるものがある気がした。

それと『呪怨a』の伽椰子に負けず劣らずの階段落ちシーンが印象的。

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その他

悪い男a』(キム・ギドク監督……「韓国の北野武」といわれているらしい)や、『アジョシa』(「韓国版レオン」といわれているらしい)、『息もできないa』(貧困と暴力の連鎖……)なども面白かった。

一時期の韓国映画はちょっと小汚い感じがあってそれが迫力を増していた気がする。
日本映画の『女囚701号さそりa』だとか、『追悼のざわめきa』だとか、『鬼畜大宴会a』だとかに通ずるテイストがあるような……。

現在はどうなんだろう……あまり情報が入ってこないけれど……(私が最近あまり積極的に映画の情報を集めていないせいもあるだろうが……)。
邦画でも韓国映画でもいいので、たまには上に挙げたような泥臭い映画を観たいものである(ただこれ系の映画は濃いめで胃もたれするので、ホントにたまにでいいかな……)。