『池上彰と考える、仏教って何ですか?a』と、『ブッダのことば スッタニパータ (まんがで読破)a』を読んだ所、ブッダの教えが分かりやすく書いてあったので、備忘録としてここにまとめておこうと思います。
仏教とは
ブッダが開祖。ブッダが生まれたのは紀元前5世紀(ちなみにイエスが生まれたのはその約500年後の紀元前4年。ムハンマドはさらに500年を経た西暦570年)。
古代インドには、仏教が生まれる以前からバラモン教という多神教があった。
今のヒンドゥー教の元になった宗教。カースト制度を重んじた。
ブッダが生きていた当時は力を失いつつあったが、仏教に刺激を受け、後にインド土着の信仰を吸収してヒンドゥー教へと姿を変えて勢力を伸ばした。
ちなみに密教とは、仏教がヒンドゥー教の儀式や信仰を取り入れたもの。神秘的な儀式や呪術によって、現世での利益を実現しようとする傾向。
ブッダは、力を失いつつあったバラモン教の考え方を超えて、「無我」の教えを説いた。
当時一般に信じられていた「輪廻転生」を前提とし、この輪廻から抜け出すこと(解脱)で苦しみから逃れ、心の安らぎを得ることができるという教え。
二度とこの世に生まれてこない状態が理想。
また同時に、正しい生活を送ることにより、現世での解脱(苦しみのない境地に至ること)ができることも説いた。
仏教の象徴的な教え・三法印
- 諸行無常
- 諸法無我
- 涅槃寂静
これに「一切皆苦」を加えて「四法印」と呼ぶこともある。
諸行無常
あらゆる物ごとは同じままとどまることはないという教え。
諸法無我
全てのものは不確かで変化するものだから、私というものにも実体はないという教え。
人間もものや他人との関わり合いで変化するのだから、固有の我というものはないということ。
そう理解することで、他人と比べたり自分に執着したりするなどの様々な苦を遠ざけることができる。
「諸行無常」「諸法無我」なのだから、人生はそもそも思い通りにならないのが当たり前。思い通りになるだろうと期待したり、躍起になったりするから苦しみが生まれる。
涅槃寂静
苦しみの原因は煩悩である。
煩悩をコントロールして心を穏やかに保つことで、苦しみを減らすことができる。
苦しみを完全に抜け出した状態=「涅槃寂静」
一切皆苦
この世は思うにまかせないつらいこと、苦しいことだらけ。
根源的な四苦
生老病死。老、病、死は分かりやすいが、生は「生まれること」。ブッダは生まれること自体を「苦」としたのである。
社会生活から生まれる四苦
愛別離苦 | 愛する人と別れる苦しみ |
---|---|
怨憎会苦 | 怨み憎しみのある人と会う苦しみ |
求不得苦 | 求めても手に入らない苦しみ |
五蘊盛苦 | 思う通りにならない精神的苦しみ |
どんなに文明が発展しようとも、人間はこれらの苦しみを避けることはできない。
これら八つの苦は「四苦八苦」と呼ばれる。
苦を取り除くには・四聖諦(四諦)
諦=真理や真実のこと。
苦を取り除くまでの4つの過程
苦諦 | この世は苦に満ち、人は苦しみの人生を歩んでいると認識する |
---|---|
集諦 | 苦しみには様々な原因があることを認識する |
滅諦 | 苦の原因を滅すれば苦から解放されること(ニルヴァーナ)を認識する |
道諦 | 苦の原因を滅する方法があること(八正道)を認識し、実践する |
苦しみの原因・煩悩、そして三毒
上でも書いたが、苦しみの原因は煩悩である。煩悩は俗に108つあるなどといわれるが、根本的な煩悩は大きく分けて3つ。これを三毒という(ブッダの弟子がまとめた。宗派により分類などが異なる)。
怒り | 嫌悪、憎悪、拒絶すること。 |
---|---|
貪り | もっと欲しい! と欲張る心。ものについてだけでなく、快楽や権力、いつまでも生きたいという欲求なども含まれる。 |
愚か | 「諸行無常」「諸法無我」などの真理を知らないこと(無明)。貪り、怒りの原因。苦の原因の大本。 |
苦しみを滅する方法・八正道(八聖道)
正見 | 正しいものの見方を持つこと |
---|---|
正思惟 | ものの道理を正しく考えること |
正語 | 嘘や悪口を言わず正しい言葉を発すること |
正業 | 盗みや殺し、飲酒などを避け正しい行いをすること |
正命 | 善行に努めた正しい生活を送ること |
正精進 | 日々怠ることなく努力し過ごすこと |
正念 | 正しい知識を心にとどめ忘れないこと |
正定 | 正しい瞑想を行い精神統一すること |
正しいものの見方や行いとは・中道
快楽でも苦行でもない適正で中正な行為、偏った両極端なものの見方を離れバランスが取れたものの見方をすること。
ブッダが考える聖人とは
- 誠実
- 聡明
- 怒らない
- 怠惰でない
- 慢心がない
- 粗暴でない
- 優しく柔和
- 人を欺かない
- 高慢・傲慢でない
- 人の悪口を言わない
- 何ものをも憎まない
- 簡素な生活を送っている
- 古いものを喜んでいない
- 新しいものに魅了されていない
- 滅びゆくものを悲しんでいない
- 美しいものに愛着を起こしていない
- 邪な貪り・ものおしみを超えている
- 妄執(迷いによる執着)にとらわれていない
- 眠り・ものぐさ・塞ぎ込む心に打ち勝っている
- 煩悩を枯渇せしめていて、生死や老いに支配されていない
- あらゆる生きもの・全世界に対して慈しみの心を持っている
ブッダの教えの最終目標
- 中道、八正道の実践により、生きながらにして苦のない境地(ニルヴァーナ)に至ること=悟り
- 輪廻からの解脱
(私なりの解釈なので異論はあるかもしれません)
上座部仏教と大乗仏教
ブッダの死後、大きく二つの派閥に分かれた。
上座部仏教
保守派。ブッダの時代のルールをそのまま守るべきという考え方。出家して修行することが推奨される。自らが悟りを開くことを重視。小乗仏教、テーラワーダ仏教、南伝仏教とも。スリランカやタイに伝播。
大乗仏教
改革派。時代に合わせてルールを変えていくべきという考え方。
上座部仏教との大きな違いは、金品もお布施として認めていること(六波羅蜜)。
僧侶だけでなく一般の人も「利他」により悟りに近付けるとする。
日本に伝わってきたのは大乗仏教。中国のフィルターを通しているので、儒教や道教の思想も大きく影響している(仏壇に供える位牌は儒教の習慣)。日本では国づくりのために仏教が導入された。
あとがき
はじめにも書きましたが、『池上彰と考える、仏教って何ですか?』と『ブッダのことば スッタニパータ (まんがで読破)』を参考にまとめさせて頂きました。
仏教の成り立ちやブッダの教えはもちろんのこと、日本での仏教の伝わり方や、なぜ日本の仏教は「葬式仏教」といわれるようになってしまったのかなども分かりやすく解説されています。
『ブッダのことば スッタニパータ』を漫画化したもの。ブッダの生涯や教えがシンプルにまとまっていてとても読みやすいです。
ただ『ブッダのことば スッタニパータ』に書いてあることを全て漫画化している訳ではないので、ご興味がわいた方は原作本も読んでみるとよろしいかと思います。
人生うまくいかないことだらけで、つい不満やモヤモヤがたまりがちな私ですが、ブッダの教えを実践すれば苦のない境地(ニルヴァーナ)に辿り着けるのでしょうか。それは魅力的ではあるのですが、つい「正しい生活ってちょっと窮屈そうだな……」などと考えてしまいます。
ただ上の記事でも書きましたが、ブッダに限らず誰かのいったことを全て鵜呑みにするのではなく、いろいろなことを見聞きしていいとこどりをして、自分なりに生きやすくなる哲学のようなものをこしらえていければいいなと思います。
tag ブッダ