皆様は「舞踏」というとどのようなイメージをお持ちでしょうか。
仮面舞踏会のようなちょっと気取った舞踏……?
それとも全身白塗りの気色悪い暗黒舞踏……?
今回ご紹介させて頂くギリヤーク尼ヶ崎さんは、上のどちらとも違う独特の舞を披露されている舞踏家です。
ギリヤーク尼ヶ崎さんの踊りを見ると、「舞踏」の概念を根底から覆されるかもしれません。
ギリヤーク尼ヶ崎とは
1930年生まれ。津軽三味線のテープなどをBGMに、独特の踊りを披露する舞踏家。
38歳の時に銀座で初の路上パフォーマンスを行う。
その特異な踊りが大島渚や寺山修司などの著名人に認められる。
70年代半ばからはフランス、アメリカ、韓国などの海外でも公演を行うように。
ポリシーから公演は路上で行い、また、その投げ銭によって生計を立てている。
2009年 新宿での公演
2009年10月12日(月・祝)、新宿三井ビル55広場にて、ギリヤーク尼ヶ崎さんの踊りを観てきました。
それまでもお名前はいろいろな所で見たり聞いたりしていたのですが、ようやく実際にお姿を拝見することが出来ました。
踊りは張りつめているのですが、「めくり」を観客に見せながら演目を声高に叫んだり、観客によだれかけ(?)の紐を結んでもらったり、お客さんと一緒になって踊ったり客席に紛れてみたりと、時折ふっと会場がコミカルな雰囲気に包まれることがありました。
黒田オサムさんが登場
飛び入り参加のお客さんの中に、一時期横浜でよくお見かけした黒田オサムさん(この方も舞踏家)がいらっしゃってビックリ!
後で聞いた話によると、飛び入りと見せかけて、実は黒田さんの登場については毎年恒例になっているようです。お二人が一緒に踊っている所をもっと見たかったです。
命がけのパフォーマンス
またまたビックリしたのが最後、ギリヤーク尼ヶ崎さんが階段を駆け上がり、ちょっと遠目から見ていたお客さんに接近してサービス!
その後逆側の階段から会場に戻りつつ、いつの間にやら準備してあったバケツを引っ掴んで、脳天から水をひっかぶる! びしょ濡れでのたうち回るギリヤーク尼ヶ崎! 悲鳴と拍手に包まれる会場……!
スゴイ……! と目を瞠りつつ、心臓が悪いというお話だったので、ちょっと怖くなってしまいました。
パフォーマンスとは、ここまで命がけでやらねばならないものなのかと……。
ギリヤーク尼ヶ崎さんは、きっと人を楽しませることが本当に好きなのでしょう……でなければこんなにも体を張ることは出来ないと思います。
のぼりとポストカード
のぼりも素敵でした。俳優の近藤正臣さんからのプレゼントだそうです。
ポストカードを販売していたので購入……海に向かってお手製の三味線(?)をかき鳴らしている写真が特に素敵です。
それにしても想像以上の人出でした。そして、こんな日に限ってデジカメを忘れた私(写真がひどくてスイマセン)……。
そういえば、すぐ傍でものすごく性能が良さそうなカメラで撮影しているオジサンがいらっしゃったのですが、「今正に、オジサンがふんどし姿のオジサンを激写しているのだなァ」……と思うとちょっと面白かったです。
ギリヤーク尼ヶ崎さんはこの時79歳(大道芸を始めてから41周年)!
しかしあの元気に走り回るお姿を見たら、50周年も夢ではなさそうに思えます。
皆様もよかったら一度生でギリヤーク尼ヶ崎さんの舞踏をご覧になってみてはいかがでしょうか(新宿だけでなく、大阪や埼玉などでも公演を行っているようです。最新情報はFacebookページをご覧ください)。
こちらの動画で、この2009年新宿公演の模様を少し見ることが出来ます(赤フン一丁で踊る「念力」と、代表的な演目「念仏じょんがら」)。
そして動画の終わり頃で、ギリヤーク尼ヶ崎さんが「正式に警察に捕まったのは87回」というエピソードなどを語っています。
動画が4分割になっています。全て見たい方はこちらからどうぞ。
ギリヤーク尼ケ崎さん 大道芸人50年の生きざまを追う(動画)
お若い頃の写真や、2017年の公演の様子を鑑賞できる動画です。
ギリヤーク尼ヶ崎さんの写真集
folder 鑑賞記録
tag 身体芸術