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大寅興行社の見世物小屋を鑑賞した思い出【新宿花園神社酉の市にて】

time 更新日:  time 公開日:2016/03/22

大寅興行社の見世物小屋の看板1(新宿花園神社酉の市)

 九段の見世物風景は、(中略)古風な見世物を日本中の隅々を探し廻って寄せ集めた、という感じであった。
 地獄極楽からくり人形、大江山酒呑童子電気人形、女剣舞、玉乗り、猿芝居、曲馬、因果物、熊娘、牛娘、角男、それらの大テント張りのあいだあいだには、(中略)東京中の人間が、ウロウロ蠢いているのである。
江戸川乱歩『猟奇の果』より

見世物小屋……!

なんと暗く、妖しく、そしていかがわしい魅力を放つ言葉でありましょうか……!

現在では観ることがほぼ不可能である見世物小屋ですが、数年前まで「大寅興行社」という本物の見世物小屋が1つだけ活動していました。
この記事では、私が見世物小屋を鑑賞した際の思い出と、見世物小屋が出てくる漫画や本について記してみようと思います。

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見世物小屋を初鑑賞。がしかし……

新宿花園神社の酉の市で、見世物小屋を観ることができるらしい……!
ということを知った私は、友人と連れ立って見世物小屋を観に行くことに。

どんなに恐ろしげな異空間なのだろうか……とドキドキしていたのですが、観てみてガッカリ、薄暗闇の中、セーラー服を着たお姉ちゃんたちがクネクネ踊ってたまに火を吐くという???なショーが繰り広げられたのでした(他にもタコ娘だとかを見たはずなのですが、ショックが大きすぎてあまり覚えていません……)。

後に知ったのですが、この年は運悪く本物の見世物小屋の興行でなく、とある劇団のショーが行われていたのですね……。
見世物小屋がインチキ臭いのは百も承知であったけれど、求めているインチキ臭さと全く違う……コレじゃない感が半端なかったです(いや、お姉ちゃんたちはお姉ちゃんたちできっと頑張っていたのだとは思うのですが……)。
誘った友人に申し訳なくてその後平謝りした思い出……。

やっと大寅興行社の見世物小屋を鑑賞

大寅興行社の見世物小屋の蛇女の看板(新宿花園神社酉の市)

それから数年後、ようやく「大寅興行社」が行う本物の見世物小屋を鑑賞することができました。

大寅興行社の見世物小屋の看板2(新宿花園神社酉の市)

大寅興行社の見世物小屋の口上(新宿花園神社酉の市)

河童のミイラ」を仰々しく紹介する(もちろん作りもの)、大蛇が登場する(これは本物。触らせてくれました)、女性が生きている蛇をムシャムシャ噛みちぎる(これも本物)などの出しものが行われていました。

小雪太夫さんという方の蛇食い(専門用語でマキツギというらしい)も鬼気迫るものがありましたが、欲を言えばその道50年のベテラン、お峰太夫さんのマキツギを見たかったかも……。

シマヘビが一番クセがない。シマヘビなら絶対に噛み切れる。(中略)
やる時はヘビを横に持って前歯でガブッとね。頭は絶対齧る。かなり尻尾の方まで齧っても、まだ生きて動いているんだよねえ。
週間新潮05年12月号 お峰太夫さんの言葉

ですがお峰太夫さんの火吹き芸は観ることができました。
溶けたロウソクを口の中に垂らしてから(熱そう……)、火炎放射器のようにブォーッと火を吹くという凄まじい芸です。
すごい火の勢いでした……(前もって観客をモーゼの「十戒」の如くにどかす位)!

やっぱり発火は気が張るよ。ケガすることもあるからねえ。燃えていると芯が出てきて火傷することもある。口の周りとか顔にポッと落ちてくると熱いし。火の大きさは若いときと大して変わっていないと思うよ。
週間新潮05年12月号 お峰太夫さんの言葉

見世物小屋の現在

ネットで見た情報なのでどこまで確実かは分からないのですが、蛇を食べたり火を吐いたりというのは、その後規制されてできなくなってしまったとか……。
見世物の興行を行うのはここ十数年ほどは大寅興行社1社だったので、もともと風前の灯ではあったのでしょうが、その規制が終焉を早めたのでしょうか……最近では酉の市の見世物小屋を、大寅興行社ではなく別の劇団がメインで行っているようです。

昔ながらの見世物小屋がなくなってしまうのは大変惜しいことだと思うのですが、じゃあ今から見世物小屋を作ろう! と同じことをやったとしても、多くの方が見世物小屋に求めるであろうあのおどろおどろしい雰囲気は出ない気がします。
現代ではただ単に「過激なパフォーマンス」になってしまい、異端者の悲哀諦念のようなものを醸し出すのは難しそうですから……。

見世物小屋が出てくる映画や本、漫画

ニッポンの、みせものやさん

映画『ニッポンの、みせものやさん』 – 奥谷洋一郎監督

今となっては本物の見世物小屋を観ることは難しく、映像作品が頼みの綱ですが、上記の映画はDVD化されておらず、たまに映画館での上映が行われるのみ(私も観たいと思いつつ今の所未見です)……。

ただ、既に「滅びゆく芸能」となっていた見世物小屋を追ったドキュメンタリーなので、この作品でも活気が満ちていた頃の興行が観られる訳ではなさそうです。

見世物はおもしろい

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この本は曲芸(のちのサーカス)の浮世絵生人形の写真にページ数を多く割いていて、あやしげな絵看板やちょっと過激な芸・出演者などに関してはあまり触れられていません。
いかがわしい雰囲気を求めている場合はちょっと期待外れかもしれません(これはこれで資料としての面白さはあるのですが……)。

踊る一寸法師

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江戸川乱歩の短編小説。
見世物小屋一座の休憩中の話ですが、「美人の獄門」という出しものが登場します(小説内では「大魔術」といわれています。ちょっと物騒なマジックといったところでしょうか)。

短い話で、しかもフィクションなので、見世物小屋の真実の姿を知ることができる訳ではないですが、江戸川乱歩が描く見世物小屋は猟奇的摩訶不思議な雰囲気に満ち溢れています。

少女椿

『少女椿』改訂前表紙
少女椿

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見世物小屋が舞台となっている漫画です(フィクション)。
できれば上の表紙の改訂前のものを読んだ方がよさそうです(改訂版はエログロシーンが削除されたり、台詞が変更されている箇所があるとか……私は改訂前のものしか持っていないので、どの程度の削除や変更がなされているのかは不明。こちらのAmazonのレビューaが参考になるかも)。

しかしそこまでこだわりがなく、とりあえず見世物小屋の雰囲気を味わいたいという場合は、下記の改訂版でもいいかもしれません。
こちらも絶版のようですが、改訂前のものよりは入手しやすいと思います。

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おまけ:蛇娘の写真

ある日Twitterで上の写真を目にして驚きました。
美少女の首に何匹もの蛇が絡みつき、その内の一匹を美少女がケロッとした表情でくわえている……!
気になって調べてみた所、見世物小屋で販売されていたポストカードだったことが分かりました。

驚きの昔のサーカス、見世物小屋の人と写真(フリークショー)

こんなに美しい娘さんが蛇をバリバリ食べるとは……見たいような、見たくないような……。

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