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ゲーム「文豪とアルケミスト」で好きな作家とそのおすすめ作品【芥川龍之介、太宰治、江戸川乱歩など】

time 更新日:  time 公開日:2017/07/21

「文豪とアルケミスト」とは

文学書を守るために、文豪が転生して本の中で戦うというオンラインゲーム(基本無料)。
病んでいたりクセが強かったりするキャラクター(しかも全員過去に実在した作家)がたくさん出てくるのが魅力です。

「文豪とアルケミスト」公式サイト
「文豪とアルケミスト」公式サイト

以下で、このゲームに出てくる私が好きな文豪と、そのおすすめの作品(小説や随筆、詩)をご紹介してみます。

芥川龍之介

芥川龍之介|文豪とアルケミスト
芥川龍之介|文豪とアルケミスト

日本の文豪といえばやはりこの方を抜きには語れませんよね。
戦闘中に「人生は死に至る戦いだってこと、忘れてはいけないよ」という台詞が出てくるのですが、これは芥川龍之介の遺書の文章が元ネタです(実際の文章は「人生は死に至る戦ひなることを忘るべからず」)。
こういう小ネタが随所に散りばめられているのが楽しいです(遺書の文句なので楽しい、といってしまっていいのかちょっと迷いますが……)。

好きな作品は、芸術のためなら娘をも……! という小説『地獄変』や、「人生は地獄よりも地獄的である」など、シニカルな格言が満載の『侏儒の言葉』などです。

遺作である『或阿呆の一生』『歯車』も鬼気迫るものがあって、やはりすごい。どちらも完璧に理解できている訳ではないのですが――いやだからこそなのか、大変不安をかきたてられます。

しかし芥川龍之介が陰鬱なばかりであったかというとそうでもなくて、『僕の友だち二三人』という文章によると、キン○マにアルコールを塗って悶絶し畳の上を転げ回ったりと意外に明るい面もあったようです。
人間は皆明るさと暗さを両方備え持っていて、何らかのきっかけでどちらかに傾いていってしまうものなのかもしれませんね。

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太宰治

太宰治|文豪とアルケミスト
太宰治|文豪とアルケミスト

私が好きな太宰治のエピソード5つ【熱海事件、芥川賞事件など】」という記事でも紹介したのですが、太宰治の作品では『善蔵を思う』が好きです。
言動だけ見ればほぼチンピラのそれなのですが、その心の動きを知るとクスッとさせられて、どうにも憎めなくなってしまいます。しかし家族や友人だったら厄介な人だったろうなァ……。

如是我聞』で志賀直哉をこきおろしたり、『川端康成へ』では川端康成に「刺す」と脅迫めいた文章を書いていたりもするし……。この人たちを同じ会派にしてもいいものかとちょっとドキドキしてしまいます(私はまだ川端康成を転生させていませんが)……。

その他、ド定番(?)の『人間失格』『斜陽』も好きです。生活力がない人々の悲哀が胸に沁みます。
それと短編小説『眉山』にもしみじみさせられます。人は皆いつか死ぬのだ、ということを念頭に置いておけば、人は他人に優しくできるものなのかもしれません。

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萩原朔太郎

萩原朔太郎|文豪とアルケミスト
萩原朔太郎|文豪とアルケミスト

まるで女の子のような容姿……(に私には見えます)! 『老年と人生』の中で、「芸術家は、永遠の美少年でありたいのである(実際はそうでないけれども)」というようなことを書いているので、きっとご本人がこのキャラクターデザインを知ったら喜ぶのではないでしょうか。

詩もいいのですが(戦闘中弱った時の台詞「見もしらぬ犬が自分のあとをついてくる」なんて不穏でいいですね……。処女詩集『月に吠える』の一編『見知らぬ犬』が元ネタ)、『僕の孤独癖について』という随筆が好きです。
大変なこわがりで、また、好きな人に対して「この馬鹿野郎!」と罵ってしまう衝動があったそうで、ものすごく生きづらかったであろうことが伺える文章です。
年を経るにつれてこういった衝動は減退していったそうなのですが、その代わりというのか、ご本人いわく詩が拙くなってしまったとのこと。以前記事にした江戸川乱歩も少し似た感じですね。

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中原中也

中原中也|文豪とアルケミスト
中原中也|文豪とアルケミスト

なんといっても『汚れつちまつた悲しみに……』ですね。このタイトルだけでもう、大人になることのやりきれなさが表現されている気がします。
『サーカス』という詩の「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」という擬音もすごい(ブランコの音。感じが出ていますね……。どちらの詩も『山羊の歌』所収)。

それと、「私が好きな太宰治のエピソード5つ【熱海事件、芥川賞事件など】」でも紹介した、「青鯖が空に浮かんだような顔をしやがって」という罵り文句が強烈すぎます。

泉鏡花

泉鏡花|文豪とアルケミスト
泉鏡花|文豪とアルケミスト

萩原朔太郎と同じようにほとんど女の子ですね……(と私は感じます)。「文アル」にはその他にも「これは女性では……」と私には思えるキャラが結構出てきます(鏡花の師匠の尾崎紅葉はババア呼ばわりされているし……)。

泉鏡花は美しくも物騒な話が割とあって、『外科室』『日本橋』『南地心中』なんかが好きです。
ただ、ものすごく読みづらい文章なんですよね……。歌舞伎のような様式美とでもいうのか、この文章でなくてはダメで、そしてだからこそカッコいいのですが、スラスラ読める文章とはいいがたい……。
上の中だと『外科室』が一番短くて、文章も読みやすいかと思います。

谷崎潤一郎

谷崎潤一郎|文豪とアルケミスト
谷崎潤一郎|文豪とアルケミスト

艶っぽい姐さん……ではなく、男性です。ドMなので戦闘中に攻撃されて身悶えています(敵も味方もドン引きだろうなァ……)。

その美しい文章のため、一見格調高い小説のように思えますが、実は内容はかなり変態的なものが多いです(晩年はだいぶアクが抜けたようですが)。
処女作『刺青』からして自身の性癖である足フェチを前面に押し出していますからね……。

痴人の愛R』もあからさますぎてすごいのですが、一番変態なのは実は『春琴抄』という気がしなくもありません(目をホニャララするというのはもう本当に恐ろしい……)。

それと『柳湯の事件』(『潤一郎ラビリンス〈8〉犯罪小説集a』所収)も変態チックでいいですね。夢か現か、そしてあのヌラヌラしたものに触れるおぞましさと恍惚の描写……。さすが変態の面目躍如(?)といった所です。

永井荷風

永井荷風|文豪とアルケミスト
永井荷風|文豪とアルケミスト

このブログで何度か取り上げている『知識人99人の死に方R』という本があるのですが、これに永井荷風の強烈なエピソードが載っています。短い結婚期間中に避妊具をつけ通したり家族と縁を切って父の遺産を独り占めにしたり……。

永井荷風の最後の晩餐のメニューも上記の本に載っています。それは「文アル」の食堂のメニューにもなっていて、その時に永井荷風に食事をしてもらうとある回想を見ることができます。上記の本で永井荷風の最期の様子を知っていたので、その回想を見た時はちょっとしんみりした気分になりましたね……。

作品は何作か読みまして、所々好きな文章はあるものの、全体的にはあまりピンとくるものがなく……。
しかし個人主義のさきがけ、といったその生き様が、自分を貫き通している感じがして好きです。

島崎藤村

島崎藤村|文豪とアルケミスト
島崎藤村|文豪とアルケミスト

作品は『破戒』くらいしか読んだことがなく、しかもそれほどハマれなかったのですが、「文アル」でのキャラが好きです。暗くて飄々としているというか……。

戦闘中に弱ると「ねえ、死ぬってどんな気分?」という台詞をいうのですが、ネットの情報によると、これは島崎藤村が臨終間際の田山花袋に実際に質問したことなんだとか。本当だとしたら空気読めなさすぎィ……!
その他にも姪との関係や子供のことなどを知って軽くショックを受けました。

田山花袋

田山花袋|文豪とアルケミスト
田山花袋|文豪とアルケミスト

蒲団』と『田舎教師』くらいしか読んだことがないので、私の中ではほんのり変態のイメージです……。

「文アル」のキャラ紹介ページには、「オレの小説が気持ち悪いなんて言う奴は、なーんにも分かってない訳」と書いてあるのですが、すいません、私はなんにも分かっていない奴です……。

北原白秋

北原白秋|文豪とアルケミスト
北原白秋|文豪とアルケミスト

北原白秋といえば『邪宗門』、その中でも『邪宗門秘曲』が特に好きです。
冒頭の「われは思ふ、末世の邪宗、切支丹でうすの魔法。」という文章や、「波羅葦僧(はらいそ)」「天鵝絨(びろうど)」などの言葉のチョイスが中二病っぽくてたまりません。

室生犀星

室生犀星|文豪とアルケミスト
室生犀星|文豪とアルケミスト

好きな作品は、金魚の化身である少女とおじさまとのふれあいを描いた小説『蜜のあわれR』です。
こう書くと「???」ですが、その他に幽霊も出てきます――と情報を追加すると余計に訳が分からなくなったりして……。しかしなんだかシュールで素敵な雰囲気の小説なのです。

おじさま、尾にのめのめのものがあるでしょう、あれをお舐めになると、あんまりあまくはないけど、とてもおいしいわよ、しごいてお取りになってもいいわよ。
室生犀星『蜜のあわれ』

という一文が忘れられません。「のめのめ」とか「しごいてお取りになる」とか……。文豪にはほんのり変態が多いんでしょうか(それとも私の心が汚れているだけ……?)。

詩だと、「生まれないのが一番幸せ~反出生主義や虚無的、厭世的な名言集」という記事でも紹介した、

友よ、むしろ哀しきわれを生める
その母のひたひに七たび石を加ふるとも
かなしきわが出産はかへらざるべし
室生犀星『滞郷異信』

という一節が印象に残っています(『室生犀星詩集a』所収)。
という訳で、私の中では少々暗くて変態のイメージがあったのですが、「文アル」では爽やかなキャラだったのでちょっと驚きました。

それと、室生犀星と萩原朔太郎のある回想で、危うく腐女子として目覚めそうになってしまいました(萩原朔太郎が「ぐす、へぐ」と声に出して泣くという……。きっと声優さんは大変だったでしょうね……)。

江戸川乱歩

江戸川乱歩|文豪とアルケミスト
江戸川乱歩|文豪とアルケミスト

ひとりだけなんだか衣装がはっちゃけすぎて浮いているような……。

乱歩といえばネガティブ発言が印象的です。

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ただ、戦時中にお酒が飲めるようになったことにより、残念ながら(?)人嫌いではなくなってしまったのだとか。という訳で、中年以降は意外にもかなりの常識人だったようです。だからなのか「文アル」での精神も「安定」になっていますね。

というか、こういったゲームでは精神が不安定なキャラはキワモノ的な扱いで少数しか出てこないのが普通だと思うのですが、「文アル」では精神が「不安定」や「やや不安定」なキャラが多すぎる気がします……(そこがいいのですが)。

乱歩の作品では初期の短編小説や中編小説が変態的だったり猟奇的だったりするので、そのスジ(?)の方におすすめです。

  • 題名からしてあやしすぎる『人間椅子
  • 美しくも恐ろしい幻想小説『押絵と旅する男
  • なんでそんなことしたん……!? とツッコみたくなる『鏡地獄
  • どちらの立場でも地獄――な『芋虫R
  • 男が愛しているのは妻ではなく……というかもはや人でもなく――な『人でなしの恋R
  • あえて昔の漢字で書きたい『R

などなど……。エログロナンセンスという言葉にピンときた方は是非。

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織田作之助

織田作之助|文豪とアルケミスト
織田作之助|文豪とアルケミスト

キャラがいいですねェ。島崎藤村みたいに病んでいるキャラも見ていて楽しいのですが、陽気でふてぶてしいオダサクにも惹かれます。イケメンで大阪弁ってズルイわァ……。

「文アル」で「あやしいおクスリ」を摂取する回想には魂消ました。こんなんこのご時世でやってしまって大丈夫なのか……!? まァでも当時はヒロポ○は合法でしたから……。ちなみにヒ○ポンといえば同じ無頼派の坂口安吾も中毒だったようですね。

作品は確かずっと昔に『夫婦善哉』を読んだはずなのですが、内容は全く覚えていません、オダサクさんすいません……。

坂口安吾

坂口安吾|文豪とアルケミスト
坂口安吾|文豪とアルケミスト

坂口安吾は普段は転生しない特別なキャラです。で、ちょうど現在(2017年7月21日)、「金の栞」というアイテムを使うと、坂口安吾が転生するかもしれない……! というキャンペーン中なのですが、私は入手できませんでした(まだ期間中ではあるのですが、「金の栞」がもう尽きてしまった……)。

芥川龍之介、太宰治、坂口安吾はなぜ子供を作ったのか」という記事でなんだかんだブーブー書いてしまいましたが、やっぱりいつかは入手したい……(キャラのうさんくさい見た目がタイプ。あと太宰・オダサクと組ませて「三羽ガラスアタック」を繰り出すのを見たい)。

作品では『桜の森の満開の下』『夜長姫と耳男』の2作品が残酷美を感じられて好きです(安吾も谷崎潤一郎ほどではないけれど精神的にちょっとMっぽかったのかも……? 上記2作品の他に、確か『ジロリの女』にもキッツい性格の女性が登場したような覚えがあります)。

あと部屋汚すぎィ……!

坂口安吾|Wikipedia
坂口安吾|Wikipedia

川端康成

川端康成|文豪とアルケミスト
川端康成|文豪とアルケミスト

川端康成も現在期間限定で転生する特別なキャラなのですが、私は入手できておりません……。

川端康成といえば、掌編小説がたくさん収録されている『掌の小説R』という本があるのですが、私はこの中の『屋上の金魚』という小説がもうものすごく好きです。
妾の子が姉にジンワリといじめられ、母親は発狂して金魚を口いっぱいに頬張り、妾の子はその母をぶち殺すことによりスッキリして旅立つという悪夢のような話です(でもなんだか幻想的で美しいのですよ……)。

また、『みずうみR』という小説に、

「目をあいてごらん。悪魔がいる。」
 久子はぱっちり目を明けひろげたが、悪魔を見るようではなかった。
「さみしいねえ。」と銀平は言って、久子のまつ毛を口にくわえた。
川端康成『みずうみ』

という文章があるのですが(「明けひろげた」は誤字ではなく原文ママです)、これを読んだ時は「エッロ……!」と思いました。話の筋はスッカリ忘れてしまったのですが、この文章が強烈に脳裏に焼き付いています(といっても一言一句完璧に覚えている訳ではないので、上記はしっかり本を確認して引用しましたが。。。)。

その他、『眠れる美女』『片腕』(どちらも『眠れる美女R』所収)なんかも頽廃的な雰囲気がありました。
ノーベル賞作家というとなんだかゴリゴリにお堅い文章を書いていそうですが実はそうでもなく、やっぱりほのかに(いやだいぶ?)変態の香りがするのでした。

あとがき

今回、「文豪とアルケミスト」をきっかけに、好きな文豪やその作品をまとめてみて、改めて「作家って、うっすら(一部ガッツリ)変態の人が多いのかしら……」と感じました。

ここに夢野久作が加われば鬼に金棒ですね(もちろん変態的な意味で)……! もし夢野久作が登場するとしたら、きっと学生帽+詰襟姿なのでは……と予想しています(『ドグラ・マグラ』の呉一郎のイメージ)。

あとは内田百閒も見てみたいですね。どんなキャラになるのか想像がつきませんが(いかめしい顔つきの顔写真がつい浮かんできてしまい)……。
稲垣足穂もクセモノなのでキャラになったら面白そうです。

興味がわいた方はよかったらプレイ(ゲームをです)してみてください!

文豪とアルケミスト

追記

夢野久作|文豪とアルケミスト
夢野久作|文豪とアルケミスト

2018年2月、夢野久作が追加されていました!
予想が外れて詰襟姿ではありませんでしたが涼しげな美青年ですね。

夢野久作のおすすめ作品については以下の記事をご覧ください。

夢野久作のおすすめ小説+エッセイ【ドグラ・マグラ、少女地獄、瓶詰の地獄など…青空文庫へのリンクあり】
夢野久作のおすすめ小説+エッセイ【ドグラ・マグラ、少女地獄、瓶詰の地獄など…青空文庫へのリンクあり】