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『絶望名人カフカの人生論』を読んで幸福について考えた

time 更新日:  time 公開日:2016/05/08

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誰よりも落ち込み、誰よりも弱音をはき、誰よりも前に進もうとしなかった人間の言葉。今までになかった“絶望の名言集”。
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ということで、内容は全編にわたって暗いです。そしてウジウジしています。

中でも強烈だったのが、冒頭に出てきた

将来に向かって歩くことは、ぼくにはできません。
将来に向かってつまずくこと、これはできます。
いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。
カフカからフェリーツェへのラブレターより

というカフカの言葉です。
しかもこれがラブレターの一節だというのですからビックリです。

更に驚くべきことには、このラブレターの相手とカフカは婚約にまでこぎつけたということ……!
女性は母性本能をくすぐられたのでしょうかね……?

更に更に驚くべきことに、その女性とはその後婚約破棄して(2度も)、結局カフカは独身のまま40年という短い生涯を終えたということです。
カフカの方がマリッジブルーのような状態になってしまって、どうしても結婚に踏み切れなかったのだとか……。

女性はその後別の男性と結婚して幸せになったようですが、後年お金に困ってカフカからの手紙を売却したりしたそうなので、まァ……人生なんだかいろいろありますわなァ……。

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肺結核におかされてしまったカフカ

絶望名人カフカの人生論』は、ただ単にカフカの言葉が並んでいる訳ではなく、右ページにカフカの言葉(主に手紙や日記からの抜粋)、左ページに編訳者である頭木弘樹さんの解説が載っています。
その解説により、当時のカフカがどういった状況にあったのかが分かるようになっています。

健康のため食べ物に気をつかったり、新鮮な空気を取り入れるべく寒い時期でも窓を開けっ放しにして寝ていたというカフカ……食べ物はともかくとして、窓を開けっ放しにして寝るのはあまり身体によくないような……とにかくいろいろ神経質だったのでしょう、そしてそういうことがたたったのか、肺結核におかされてしまいます。

健康に気をつかっていたはずなのに、病気になったらなったで「仕事に行かなくて済む」(作家としては売れていなかったので別の仕事をしていた)と喜んでいたのだとか……。
こうなるとネガティブなんだかポジティブなんだかよく分かりません。

カフカの友人 マックス・ブロート

ウジウジしていたカフカにも、意外なことに親しい友人がいました。
マックス・ブロートという当時の流行作家です。
ブロートの口添えでカフカは生前に本を出版できたのですが、全然売れなかったそうです。
流行作家と売れない作家……書く作品の雰囲気も全くといっていいほど違ったようですが、共通点が少ないからこそお互いに惹かれる何かがあったのかもしれません。

カフカは亡くなる間際に、ブロートに「遺稿を燃やしてほしい」と頼んだそうです。
しかしブロートはカフカの死後、遺稿を燃やすことはせず、出版するために尽力したのだとか。
これを裏切り行為と考える人もいるようですが、実はカフカも心の底では出版してほしいと思っていたのではないでしょうか。
本当に燃やしてほしいなら、自分でコッソリ燃やせばいいだけの話ですから……。

そして、「カフカは燃やしてくれと言っていたのだが……」という注意書き付きで、カフカの遺稿は出版される運びになったのだとか。
当時は売れない作家であったカフカですから、出版してくれる所を探すのにブロートは大変苦労したようです。
亡くなった友人のためにここまでするブロート……いい人すぎます……!

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どちらが幸福?

ブロートのおかげでカフカの遺稿が出版され、カフカの作品はこの世に残ることになり、その後カフカは「20世紀最大の作家」と称されるまでになりました。

一方、カフカのために尽力したブロートは、当時は流行作家であったものの、現在では「カフカの親友」だったということで名前が残っているに過ぎず、自身の作品は全くといっていいほど評価されていないようです。

  • 流行作家だったが後世に作品が残らなかったブロート

  • 生前は作家としてあまりいい思いをすることなく、人生を悲観して亡くなっていったカフカ

一体どちらが幸福だったのでしょうか。

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生前全くといっていいほど日の目を見ず、後に作品が評価されたという点で、ゴッホとカフカの生涯には通ずるものがある気がします。

以前だったら、迷わずカフカやゴッホのような人生に憧れたものですが、最近では、死後の名声より、仏教でいうところの現世利益を追求した方が楽しい人生を送れるのではないか……などと思うようになりました。

しかしよくよく考えると、大半の人が死後の名声も現世利益も得られないのだから、もっと別の幸福に目を向けるべきなのかもしれません。
よくいわれることですが、日々の小さな幸福……ご飯が美味しかっただとか、布団を干せただとか、そういったことを当たり前と思わず幸福と感じられるようになること……それこそが真の幸福というもの……なんでしょうかね……?

浮き沈みが激しかろうが激しくなかろうが基本的に人生はつらい

上記の記事でも書いたのですが、私はまだまだ悟りの境地にはほど遠いです……!

カフカの代表作『変身』

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絶望名人カフカの人生論』の編訳者の方と同じで、私も読書感想文を書く時に「(本の厚みが)薄くていい」という理由から『変身』を読みました。
しかしその薄さに反して内容はなかなかにヘビーなのですよ……。

ある男が目覚めると巨大な虫になっていた……という奇想天外な話です。
あらすじだけ見るとなんだかSFチックですが、これが不思議と人生の悲哀を感じさせる物語なのです。
絶望名人が書いた小説は、やはり絶望に満ちています……!

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上記で紹介したもの以外にも、暗い言葉がタンマリ載っています……!

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