私はホラー映画が好きなのですが、ひと口にホラー映画といっても様々なタイプがあります。
そこでこの記事では、ホラー映画を自分なりに分類してそれぞれの有名作品を挙げてみようと思います。
ホラー映画を観てみたいけれど、何から観ていいか分からない――という方のご参考になりましたら幸いです(ただだいぶ主観が入っていますので、あくまで一個人の意見としてお考えください)。
オカルト系
幽霊や悪魔、心霊現象や超常現象などが出てくるホラー映画です。
ホラー映画というと他のジャンルの映画に比べて評論家などには一段低く見られていそうですが、このオカルト系はホラー映画の中では少し格調高い雰囲気があります。
「正統派ホラー」などと謳われている映画は大体このオカルト系にあたるのではないかと思います(洋画の場合……邦画の場合は逆にオカルトチックなものはちょっとうさんくさい雰囲気が漂っていたりします。それはそれでまた面白い場合もあるのですが……)。
有名作品(洋画)
『ポルターガイスト』
題名からして怖そうですし、監督が『悪魔のいけにえ』のトビー・フーパー監督ということもあってものすごく凄惨なホラーなのでは……と身構えて鑑賞すると肩透かしを食います。
製作のスピルバーグ色の方が強めで、ホラーよりもファンタジーの要素が上回っているといえそうです。
オカルトホラー映画入門にうってつけかと思います。
『シャイニング』
パッケージ(ジャック・ニコルソンの顔圧)のインパクトが強烈な作品。
サイコホラー的な側面もありますが、大まかにはオカルト映画といっていいかと思います。
怖いかといわれたら私は正直あまり怖くないのですが、監督が巨匠スタンリー・キューブリックということで、所々にアーティスティックな場面が出てくるのが見所かもしれません。
それと名優ジャック・ニコルソンの鬼気迫る演技がやはりすごいです。
『エクソシスト』
1973年の映画なのでもう古典といえるかもしれませんが、今観ても怖いです。
チョイグロ要素もあるので、ちょっとホラーに慣れてから鑑賞した方がよさそうです。
なんともいえない重厚で冷たい雰囲気、そして印象的なテーマ曲……。
オカルト映画の大傑作です。
(神父さんが数人登場するので、気を付けて見ておくとゴチャゴチャにならずにすむかもしれません)
その他
『キャリーR』(1976年のオリジナル版)、『ローズマリーの赤ちゃんR』、『オーメンR』(1976年のオリジナル版)、『シックス・センス』など。
『シックス・センス』も怖くないので入門編にいいかもしれません。
この他『永遠のこどもたちR』など、「泣けるホラー」や「感動するホラー」という風にいわれているものは大体がそんなに怖くないです。
家に悪霊や悪魔が取り憑いている系
『エクソシスト』や『ポルターガイスト』もそうなのですが、欧米では古くから「家に悪霊や悪魔が取り憑いている」系の映画が製作されていたようです。2010年代にも『インシディアスR』『死霊館R』などがありますので、海外では割と定着しているジャンルなのかもしれません。
この系統はちょっと雰囲気が似通ったものが多いのですが、その中でも私がなかなか面白いと思ったのは『悪魔の棲む家a』(1979年のオリジナル版)でしょうか。ただ単に悪霊や悪魔祓いが出てきてワーワーという感じではなくて、悪霊や取り憑かれる人のバックグラウンドの描写があるので物語に奥行きがある気がします。
ちょっと渋い所では、『チェンジリングa』というカナダの映画も評価が高いです(1980年ピーター・メダック監督。イーストウッド監督の同名映画とは別物)。
有名作品(邦画)
『呪怨』ビデオオリジナル版
邦画ホラーというと、古い所では『東海道四谷怪談a』などがありますが、
近年では90~00年代のJホラーを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
そしてその二大シリーズといえば『リングa』と『呪怨』ですが、やはりこの2つは怖いですし、映画としてもよくできていると思います。
ただ『呪怨』はビデオオリジナル版の『呪怨』をおすすめします。
『女優霊』と『邪願霊』
それから少しさかのぼって、『リング』の中田監督のデビュー作『女優霊R』という映画があります。
これが1番怖いJホラーだという方も少なからずいらっしゃるようです。
それから更にさかのぼって、1988年の作品に『邪願霊a』というものがあります(50分くらいのオリジナルビデオ作品)。今見るといろいろ古臭い所も多いのですが、ひとつものすごく怖いシーンがあって、これが後の『女優霊』に影響を与えたのではないかと私には感じられました。
『ノロイ』
ちょっと変わり種で、フェイクドキュメンタリー(『ブレア・ウィッチ・プロジェクトa』のような手法)の『ノロイR』という映画がありますが、これは怖いという方と怖くないという方とで真っ二つに分かれるようです(ちなみに私はものすごく怖かったです)。
モンスター系
モンスターが出てくるホラー映画です。
更にそれを、
- 異界系モンスター映画
- SF系モンスター映画
- ゾンビ映画
- 動物系パニック映画
に分けてみます。
異界系モンスター映画の有名作品
『チャイルド・プレイ』
チャッキーというキャラが有名(殺人鬼の魂が乗り移った人形)。
オカルトホラー洋画でいう所の『ポルターガイスト』のような入門編にピッタリの作品かと思います。
『エルム街の悪夢』
フレディ・クルーガーというキャラが有名。
『チャイルド・プレイ』よりホラー度は少し上かもしれませんが、それほど怖くないです(スプラッター! という場面があるにはあるのですが……詳しくは後述します)。
シリーズ1作目に若き日のジョニー・デップが出演しているのが見所の1つといえるかもしれません。
『ヘル・レイザー』
ピンヘッドという顔に針がいっぱい刺さっているキャラが有名。
正確にいうとピンヘッド様は「魔道士(セノバイト)」なので、モンスター扱いしていいのかどうかちょっと迷いますが……。
雰囲気も上2作とは少々異なっていて、荘厳で美しいです。
尚且つグロ描写(人体損壊系)もかなりあります。
グロ美しいSMゴシックホラーという唯一無二の存在です。
CGがちょっとショボい所もまた味があっていいです。
その他
『チャイルド・プレイ』のトム・ホランド監督作品に『フライトナイトR』というものがあります。
カルトホラーといわれていたのでものすごく怖いのかと思って観たら、ちょっと笑えるホラーでした。
「カルト=一部の熱狂的なファンがいる」というような意味合いで、隠れた名作か、ちょっと笑えるか、ものすごくつまらない(いわゆるクソ映画)かの3つに分かれていることが多い気がします。
気になる映画が「カルト」といわれていたら、事前にどれに当たるか調べてみるといいかもしれません(これはホラーに限らず)。
また邦画だと、『魔界転生a』(1981年のオリジナル版)、『里見八犬伝R』、『帝都物語a』などが「異界系モンスター映画」に近いかもしれません。
SF系モンスター映画の有名作品
『エイリアン』
やっぱり何といってもその造形が素晴らしいです。
乗組員にそんな秘密が……! というようなストーリー的な面白さもありますが、なんだかんだで興奮するのはやっぱりヤツが登場する場面です。
なのでいっぱい出てくればもっと楽しいのかな……と2作目も観ましたが、やはり私は1作目の方が面白かったです。
『遊星からの物体X』
クリーチャーの造形は『エイリアン』に似ていますが、映画全体のグロ度はこちらの方が少し高めかもしれません。
そしてこの作品ではモンスターもさることながら、登場人物たちが互いを信用出来ず疑心暗鬼になっていく心理描写にもドキドキさせられます。
その他
『ブロブa』『ヒドゥンR』などがあります。
私は「……」という感じでしたが、とにかくSFっぽいモンスターが好き! という方なら観てみてもいいかもしれません。
邦画だと『ヒルコ 妖怪ハンターa』『吸血鬼ゴケミドロR』などが「SF系モンスター映画」に近い雰囲気を持っているかもしれません。
ゾンビ映画の有名作品
ゾンビ映画はものすごくたくさんあるので、これだけでもう一大ジャンルという感じですね……。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
動物系パニック映画の有名作品
『ジョーズR』『鳥a』『アナコンダR』など、動物が襲ってくる系の映画です。
このあたりのパニック系映画はホラーに含めるかどうかちょっと微妙かもしれませんね……。
私はこの手の作品はあまり観ないのですが、これ系だと『スクワームa』が印象深かったです(ゴカイがウヨウヨしていてものすごく気色悪い……)。
巨大ミミズ的な謎の生物に襲われる『トレマーズa』もここに含まれるでしょうか(それとも怪獣映画などに近い……?)。
その他
「物が襲ってくる系映画」というのもあるかと閃いたのですが、パッと思いついたのが『激突!R』――ただひたすらタンクローリーが追いかけてくるという――これは運転している人の姿が映らないので、まるで車が意思を持って追いかけてくるように見えるのですが、普通に考えれば誰かが運転しているのだろうから「物が襲ってくる」とはいえない……?
その他に思いついたのが『キラーコンドームa』『アタック・オブ・ザ・キラー・トマトa』ですが、どちらもホラーではなくコメディですね……。
ところで話が少し脱線しますが、『激突!』のように正体不明の人やものに追いかけられるという映画にはじわじわとした恐怖を感じさせられます(『ヒッチャーa』『イット・フォローズa』など)。
サイコ系
人間が怖い系のホラー映画です。
殺人鬼やちょっとイッチャッてる人物が出てくることが多いです。
サイコホラー映画の有名作品(洋画)
『サイコ』
シャワーシーンが有名ですが、その他にもサスペンスとしてのドキドキがあったり、ゾッとする場面があったりと、今観ても映画として楽しめるのではないかと思います。
じわじわくる精神的な怖さがありますが、物理的に凄惨なシーンは出てこないので、サイコホラー映画入門におすすめといえそうです。
『悪魔のいけにえ』
サイコホラー映画界にそびえたつ金字塔です。
スラッシャー(いわゆる連続殺人鬼もの……後述します)の元祖のようにいわれることもあるようですが、この作品はそれらとはちょっと趣が異なるように私には感じられます。
意外にも露骨なスプラッターシーンなどがそれほどある訳ではないのですが、画面から緊張感が伝わってきて手に汗を握ります。
初見はものすごく恐怖を感じるのに、二度目は何故だか笑ってしまう……そんな不思議なホラー映画です。
その他
『マニアックa』(1980年のオリジナル版)、『ヒッチャーa』(1986年のオリジナル版)など。『マニアック』は非モテのおじさんがトチ狂って大迷惑、『ヒッチャー』は上でも少し書きましたが、不気味なおじさんがある青年の後を執拗に尾けてくるという映画です。
『羊たちの沈黙R』『セブンR』などの有名所ももちろん面白いのですが、これらは『サイコサスペンス』という区分けになっていることがあります。
殺人鬼が出てきますし、ちょっと怖い場面もあるのでホラーといってもいいような気もしますが……。
それと『エスターR』『ミザリーR』なんかもホラーなのかサスペンスなのか微妙な所です(『エスター』はAmazonの説明では「サスペンスホラー」となっています。なので、複数のジャンルにまたがっているということもあるのかも……?)。
「サイコサスペンス」「サイコスリラー」「サイコホラー」などを厳密に区別するのはちょっと難しい気がします。
サイコホラー映画の有名作品(邦画)
『オーディション』
国内より海外での知名度の方が高そうな映画です。
女優の椎名英姫(しいなえいひ)さんが美しいのですが、とんでもなくおっかない……!
ちょっとバッチい所があるのでご注意ください。
その他
あとは『黒い家R』『悪の教典a』『冷たい熱帯魚a』などでしょうか(しかし『冷たい熱帯魚』はかなりスプラッター&グロ要素が強めなので閲覧注意です)。
それとホラーといえるかどうかは分からないのですが、『凶悪R』にもチラッとグロ要素があります。ただこの映画は人間の底知れぬ闇を見せつけられるようで、怖いというよりも胸糞悪さの方が上回っているかもしれません。
また、古い邦画で『この子の七つのお祝いに』という映画があります。
これはジャンルでいうとサスペンスにあたるのかもしれませんが、殺人シーンがどことなくジャッロ(イタリアのホラー。詳しくは後述します)を彷彿とさせます。それでいて日本的なじめじめしたホラーの雰囲気も兼ね備えています。
そして何といっても岸田今日子さんの怖すぎる演技、またあるお方のセーラー服姿が強烈な印象を残す映画です。
スラッシャー映画の有名作品
スラッシャー=刃物で切り裂く、というような意味だそうです。
サイコホラー映画の中でも、主に80年代を中心とした連続殺人鬼が出てくる映画のイメージです。
『ハロウィン』
ブギーマン(本名:マイケル・マイヤーズ)という殺人鬼が登場します。
マイケルはおとなしいように見えて、実は……という生粋の殺人鬼。
今観るとちょっと地味に感じるかもしれませんが(派手に血しぶきが出たりはしない)、じんわりと恐怖が伝わってくる映画です。
リメイクもありますが、1978年のオリジナルの方がおすすめです(往年のホラー映画が近年よくリメイクされましたが、大体のものがオリジナルの方が面白いです)。
『13日の金曜日』
これぞスプラッター! という派手な流血が出てきます。
複数人の男女がキャッキャしたりイチャイチャしたりして調子に乗っていると殺(や)られる……というスラッシャーの王道パターンの映画です。
1作目に若き日のケヴィン・ベーコンが出演しています。
その他
80年代にこの系統の映画は量産されたようで、「スラッシャー映画」で探せばたくさん見つかります。『血のバレンタインa』『ローズマリーa』(ローズマリーキラーともいう)などなど……。
私もいくつか観ましたが、面白かったのは『バーニング』位でしょうか。
ただこれもパッケージの「シャキーン!」のシーンにちょっとテンションが上がるものの、その他の部分は特に……という感じなので、観なくてもいいかと……。
それと80年代までのスラッシャー映画にオマージュを捧げたと思われる『スクリームa』という映画が90年代に製作されています。
また2012年には、それまでのホラー映画にオマージュを捧げたと思われる『キャビンR』という映画が製作されています。
古いホラー映画を観ていると楽しめる小ネタがありますが、まァわざわざそのために観る必要はないかと思います。
国別ホラー
ジャッロ(ジャーロ)
イタリアのホラー映画(70年代中心)。
「ジャッロ」映画の作品群は、過度の流血をフィーチャーした引き伸ばされた殺人シーンを特徴とし、スタイリッシュなカメラワークと異常な音楽のアレンジをともなう。
Wikipedia
というように、独特の雰囲気があります。
例えば、ダリオ・アルジェント監督の『サスペリアa』は上記のように分類するならばオカルトホラー、『サスペリアPART2a』はサイコホラーですが、そういうジャンルよりもジャッロとしての特色の方が強い気がします。
特に『サスペリア』開始直後の殺人シーンはとんでもなく強烈です。
(ちなみに『サスペリアPART2』は『サスペリア』の続編ではなく全く別モノの映画です)
フレンチホラー、ドイツのホラーなど
その他にもフランスやドイツなど、国ごとのカラーのようなものがあって面白いです。
詳しくは下記記事をご覧ください。
その他の用語
スプラッター
水が跳ね飛ぶことを意味する”Splatter”から、血しぶきが飛び散るような残酷映画のことを指す。
はてなキーワード
ということで、血しぶきが飛び散ればホラー映画でなくても「スプラッター」になり得ます。
例えば『キル・ビルa』や『子連れ狼a』などにはスプラッターシーンが出てきますが、ホラー映画ではありません。
上記で紹介した映画の中で、分かりやすいスプラッター映画としては、『13日の金曜日』と『エルム街の悪夢』でしょうか(特に『エルム街の悪夢』の血しぶきはすごすぎて、ちょっと笑ってしまうほどです)。
ちなみに、世界初のスプラッター映画はハーシェル・ゴードン・ルイス監督の『血の祝祭日』(1963年)とされています。これは今観てもなかなかエグいです。
グロ
映画でグロといえば、生理的嫌悪感を引き起こすもの、というような意味で使われることが多いようです(本来はただ単に「不気味な」位の意味らしいのですが)。
大別すると、「バッチい感じ」か、「行き過ぎた人体損壊」といった感じでしょうか。
グロ映画については詳しくは下記記事をご覧ください。
ゴア
これもホラー映画を表現する言葉としてよく目にします。
血糊や流血など、べっとりとした血液を表現する言葉。ここから転じて血しぶきが飛び散る残虐シーン等のある映画、ゲーム等。
Wikipedia
ということで、スプラッターと同じ……? という感じなのですが、私の中では何故かスプラッターよりゴアの方が残虐度が上のイメージがあります。
グロ映画の内の「行き過ぎた人体損壊」=ゴア、というような……(でもこれは人によって感じ方が違うかも……?)。
まとめ
図にするとこんな感じです(あくまで個人のイメージです)。
※スプラッター、グロ、ゴア要素があるかどうかはその映画による
あとがき
私は一時期ドイツの鬼畜映画監督といわれるオラフ・イッテンバッハの作品にハマっていました。
スプラッターという言葉は通りがいいのでよくスプラッター好きといっていますが、実はただのスプラッターよりは上で述べた私の考える「ゴア」描写が出てくる映画が好みかもしれません(『ビヨンド・ザ・リミットa』『2000人の狂人R』などが好きです)。
あと、おすすめしておいてなんですが、実はオリジナルビデオ版『呪怨』がめちゃくちゃ苦手です。
幽霊が出すぎて全然怖くないという方もいるようですが、私は2、3日お風呂に入るのが怖くなりました……。
でもなんだか得体の知れないパワーがあって嫌いではないです(むしろ好き)。
というような私ですが、実は数年前まではまさか自分がホラー映画にハマるとは夢にも思っていませんでした(怖がりなので……)。
今までホラー映画を怖くて観たことがないという方も、観てみたら意外とハマって新しい自分を発見できるかもしれません(しかしいきなりグロやゴアを観るのはやめておいた方がよろしいでしょう……)。
この記事が、「これからホラー映画を観てみようかな」と考えている方のご参考になりましたら幸いです。
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