目黒というと「セレブな街」といったイメージがありますが、そんなオシャレタウンに意外にも筋金入りの珍スポットがあることをご存知でしょうか。
その名も「目黒寄生虫館」……寄生虫の標本や資料が展示されている博物館です。ウェブサイトによると、ここは世界で唯一の寄生虫専門の研究博物館なのだとか。
以下でその「目黒寄生虫館」の内部の様子や、「目黒寄生虫館」に関係するおすすめの本などをご紹介していきます!
※2017年2月、男性職員の方に伺った所、展示物の写真はブログに載せても大丈夫とのことでした。ただし動画の撮影とミュージアムショップの写真撮影はNGだそうです。
「目黒寄生虫館」とは
公益財団法人目黒寄生虫館公式サイト
1953年、医師の亀谷了(かめがいさとる)氏が私財を投じて創設した私立博物館(現在は公益財団法人。また建物も1993年に改築)。
館内には寄生虫の標本や関連資料が数多く展示されています。
そしてなんと入館無料です。
寄生虫専門の博物館……というと、なんとなくおどろおどろしい見た目を想像してしまうかもしれませんが、そんなことはなく、
入口ではかわいい(?)寄生虫キャラが描かれたガラスボードが出迎えてくれたりと、明るく清潔な雰囲気がある施設です。
デートで来ていると思しきカップルの姿もチラホラ(吊り橋効果を狙ってのことなんでしょうか……?)。
しかし展示されている標本はしっかりグロいのでご安心を(?)……!
展示は1階と2階に分かれています。ではまずは1階の展示から……。
1階「寄生虫の多様性」
1階は「寄生虫の多様性」をテーマに、主に寄生虫の標本の展示がされています。
ギロコチレ
フリフリ! 意外にもこれは条虫とのこと。条虫というと長~いイメージがありますが、「単節条虫」という種類なのだそうです(ガイドブックより)。
ちょっとマイタケに似ているような……。
ハリガネムシ
カマキリの体からニョロニョロ~っと出てきている線状のものがハリガネムシです。
この記事の一番下にハリガネムシの動画がありますのでお楽しみに!
「人の寄生虫」パネル展示
こういったパネルと標本が一体化している展示もあります。
回虫
左上に回虫……、
日本海裂頭条虫
右上に日本海裂頭条虫……、
無鉤条虫
左下に無鉤条虫……、
有鉤条虫
右下に有鉤条虫……!
真ん中に「ノミ」「シラミ」などの小粒な寄生虫も展示されているのですが、やはり巨大な条虫系はインパクトが絶大です。
こんなのが自分の体の中にいたらと思うと……おぞましいですよなァ……。
条虫ごとの違い
写真だと上の条虫はみな同じように見えるかもしれませんが、
- 日本海裂頭条虫……節がかなり細かく、それぞれに突起がある
- 無鉤条虫……節が大きめ
- 有鉤条虫……節が小さめ
近くで見るとこういった違いがありました。皆様も是非生で見比べてみてください!
ちなみに、マンソン裂頭条虫はイヌ・ネコに寄生するので上記の条虫よりは短めです(それでも成虫は1~2メートルにはなるのだとか)。
2階「人体に関わる寄生虫」
2階では「人体に関わる寄生虫」というテーマで、標本の他に、寄生虫が人体に寄生した際の症状についての説明や写真の展示などがあります(この症状の写真が結構エグイ……)。
アニサキス
サバの生食などであたるやつです。あたると激烈に痛むのだとか……。
見た目も気色悪いですね……。よく見ると水槽の下の方にもアニサキスがバラバラと落ちているのですよ。これはモヤシっぽいですね……。
犬糸状虫
イヌのフィラリアとして有名。しかし幼虫がヒトに感染することがあるそうです。肺がんの疑いで手術したら、犬糸状虫の幼虫だった……! という例があったのだとか。
これは細めのパスタ風ですね……。
象皮病・陰嚢水腫の症状写真
バンクロフト糸状虫に感染することにより、リンパ液が皮下に溜まると「象皮病」になります(皮膚が象の皮のように厚くなる)。
そのリンパ液が陰嚢に溜まると「陰嚢水腫」と呼ばれるそうです。西郷隆盛がこの「陰嚢水腫」であったのだとか。
ブログに掲載するためにモザイクをかけましたが、寄生虫館の写真にはモザイクはかかっていません。ハッキリ写っています。膨れ上がったタマ○マの印象は強烈ですよ……!
8.8メートルもあるサナダムシの展示
「サナダムシ」とは条虫などの総称とのことで、これは正確には日本海裂頭条虫だそうです。しかし「サナダムシ」といわれた方が断然イヤな感じが強まりますね……。
これが人間の男性の体内にいたというのですからビックリ!
またちぎらずに引っ張り出せたテクニックにも脱帽です(ちなみに駆虫したのは寄生虫館の創設者である亀谷氏。さすがですね……!)。
ミュージアムショップのグッズ
2階の奥にはミュージアムショップがあります。
クリアファイルや、
ポストカード(サナダムシ)、そして……、
ガイドブック……!
このガイドブックの表紙、気持ち悪すぎでしょう……(あまりに気持ち悪くて端っこの方しか持てない)!
ちなみに、上の写真が「ミンククジラの胃に寄生するアニサキス」、下の写真が「スケトウダラの肝臓表面に寄生するアニサキス幼虫」です。アニサキスはやっぱりいろんな意味でヤバい……!
その他、表面に凹凸のあるサナダムシのTシャツなんていうイカしたアイテムも販売していました。
通販で販売していました
目黒寄生虫館 オンラインショップ / 立体サナダ Tシャツ
寄生虫の標本や写真、パネルに書いてある説明を堪能して、たっぷり1時間半くらいは楽しめたと思います。
それなのになんと入館料はタダ! 太っ腹です!
グッズを少しですが購入し、入口付近にある募金箱にほんの気持ちですが寄付をさせて頂きました。
皆様も是非キモキモい寄生虫館に足をお運びになってみてください(でもパスタやきしめん、キノコ、モヤシなどがしばらく食べられなくなるかもしれないのでご注意ください)!
おすすめの本『寄生虫館物語』
寄生虫館の創設者である亀谷了氏が書いた本です。
様々な寄生虫の生態と共に、数多くのイラスト、写真が掲載されています(白黒ですが、ちょっとグロい写真もあります)。
私はその内で、無数のギョウチュウが詰まっているムササビの大腸(ちょこっと切れ込みが入っていて、そこから見える)の写真が生理的にキツかったのですが、寄生虫館で見た時はそうでもありませんでした。想像していたより小さかったからでしょうか……?
目黒寄生虫館の「ムササビ蟯虫」標本
また、実験のために寄生虫を飲んでしまったり、アメーバにかかって喜んだりと(これは著者の亀谷氏)、寄生虫への愛がすごすぎる人々のエピソードも載っています。
いろんな意味でビックリさせられること請け合いの本です!
寄生虫の動画
本の中に出てくる寄生虫の動画があったので貼っておきます。
ただ、両方ともものすごく気持ち悪いので閲覧注意です!
レウコクロリディウム
カタツムリの触覚に寄生し、モソモソ動いて毛虫になりすまし、終宿主の鳥に食べさせるというすごい芸当の持主。
色も赤と緑というなんともショッキングな色合いです。
ハリガネムシ
カマキリのお尻からニョロニョロと5匹ものハリガネムシが……!
本には、間違って人間に寄生することもあると書かれています……おおコワ……!
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