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夢野久作のおすすめ小説+エッセイ【ドグラ・マグラ、少女地獄、瓶詰の地獄など…青空文庫へのリンクあり】

time 更新日:  time 公開日:2016/06/16

1889年福岡県に日本右翼の大物、杉山茂丸の長男として生まれる。
本名杉山直樹。
夢野久作とは福岡の方言で「夢想家」の意。
慶応大学文学部中退。
禅僧、農園主、能の教授、新聞記者と、種々の経歴を持ち、1926年「あやかしの鼓」を雑誌発表して作家生活に入る。
角川文庫『ドグラ・マグラ』

夢野久作は昭和初期に活動した異端の探偵小説家です。
探偵小説というと、現代でいう所の推理小説と同じようなものに思えるかもしれませんが、そういった謎解きに重きを置いた「本格探偵小説」の他に、怪奇幻想といった雰囲気を重視する「変格探偵小説」があり、夢野久作はどちらかというと後者に属する作品を多く書いていました。

あやしく猟奇的な世界観、時に美しく、時におぞましい、そして時にユーモラスな文章が特徴的です。

日本三大奇書のひとつといわれている『ドグラ・マグラ』が特に有名ですが、その他にもおすすめ小説がありますので、以下でご紹介致します。

ドグラ・マグラ

これを読む者は、一度は精神に異常をきたすと伝えられる一大奇書

……ここは監獄か……精神病院か……。目覚めた青年は自分が何者であるか分からなかった。どうやら自らに関する記憶をスッカリ失っているようだった。あまりの恐ろしさから叫び声を上げると、壁の向こうから「お兄様」と自分を呼ぶらしき若い女性の悲痛な声が聞こえてきて……。


夢野久作の代名詞的作品といっても過言ではないのですが、これがまァとにかく読みにくい!
特に割と最初の方に出てくる「キチガイ地獄外道祭文」という訳の分からない文章で挫折する方が多いようです。

しかし後半になるにつれ物語的な面白さが増してくるので、読みづらい所はザッと目を通す位にして、とりあえず最後まで読み通し、ハマれそうだったら飛ばした所を読み返してみるのがいいのではないかと思います。
順番通りに読んでも、恐らく1度で理解できる方は稀かと思いますので、いずれにせよ何回かは読むことになるかと……(もちろん、ハマれなかった方は無理に読み返さなくていいと思いますが)。

『ドグラ・マグラ』とは

<これを書くために生きてきた>と著者自ら語り、十余年の歳月をかけた推敲によって完成された内容は、狂人の書いた推理小説という、異常な状況設定の中に、著者の思想、知識を集大成する
角川文庫『ドグラ・マグラ』裏表紙

『ドグラ・マグラ』は昭和10(1935)年に自費出版されました。
そして翌年、夢野久作は47歳の若さでこの世を去っています。
1926年(37歳頃)にデビューしているので、作家生活はわずか10年ほどということになります。
処女作(『あやかしの鼓』)執筆の傍ら、既に『ドグラ・マグラ』の初稿に取りかかっていたことが、日記の記述から判明しているそうです(『夢野久作全集4 三一書房版解題a』解題より)。

ドグラ・マグラという言葉は、維新前後までは切支丹伴天連の使う幻魔術のことを言った長崎地方の方言
夢野久作『ドグラ・マグラ』

『ドグラ・マグラ』本文より。「ただ今では単に手品とか、トリックとかいう意味にしか使われていない一種の廃語同様の言葉」という文章が後に続きます。

科学趣味、猟奇趣味、色情表現(エロチシズム)、探偵趣味、ノンセンス味、神秘趣味なぞというものが、全篇の隅々まで百パーセント重なり合っているという極めて幻惑的な構想
夢野久作『ドグラ・マグラ』

なんと『ドグラ・マグラ』の中に『ドグラ・マグラ』という本が出てきまして、本文では上のように説明されています。

精神異常者でなければトテモ書けないと思われるような気味の悪い妖気が全篇に横溢しております
夢野久作『ドグラ・マグラ』

上記の続きです。
この「トテモ」や「チットモ」「スッカリ」などがカタカナで書かれているのが夢久節(と私は勝手に思っています)。

おすすめポイント

巻頭歌

胎児よ
胎児よ
何故躍る
母親の心がわかって
おそろしいのか

米倉斉加年さんの表紙の絵

ドグラ・マグラ(下)

そして、

  • 脳髄の地獄
  • 狂人の解放治療
  • 胎児の夢
  • お兄様
  • 心理遺伝
  • 九相図

……などという、ちょっと厨二病っぽい言葉に惹かれる方なら、恐らくハマれるのではないかと思います。

謎解きの要素もあるにはありますが、それよりもブルース・リー風に「考えるな! 感じろ!」という心持ちで読むことをオススメします。
また、後に紹介する『少女地獄』や『瓶詰の地獄』などの短編小説を読んでみて、ハマれそうだったら『ドグラ・マグラ』に挑戦してみるのもいいかもしれません。

青空文庫『ドグラ・マグラ』


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映画『ドグラ・マグラ』

『ドグラ・マグラ』は1988年に映画化されています。
小説や漫画の映画化は失敗することが多いですが、映画『ドグラ・マグラ』は原作の雰囲気がよく出ていたと思います。
役者さんもイメージぴったりです!

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『ドグラ・マグラ-まんがで読破-』

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『ドグラ・マグラ』は漫画化もされています。これも読みやすくまとまっていると思います。
ただ省略されている所がありますし、表現がちょっと漫画的すぎる? という部分もチラホラ……。またラストも少しニュアンスが違うような……。

しかし、ストーリーをざっと知りたい、という場合はこれでも充分だと思います。

『ドグラ・マグラ萬画版』

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こちらも『ドグラ・マグラ』を漫画化したものです。上記の「まんがで読破」のものより、私はこちらの方が原作に雰囲気が近い気がしました。

『ドグラ・マグラ』以外の「日本三大奇書」

ちょっと脱線して、『ドグラ・マグラ』以外の「日本三大奇書」を少しですがご紹介します。

黒死館殺人事件

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青空文庫『黒死館殺人事件』

小栗虫太郎作。
これもまァ読みにくいこと、読みにくいこと……!
私は『ドグラ・マグラ』よりこちらの方がキツかったです。というか、2度ほど挑戦しましたが、いまだにどんな話なのかよく分かっていないです。

本編に関係のないウンチクが多く、衒学的(学問・知識をひけらかすさま。ペダンチック)などと言われているようです。

虚無への供物

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中井英夫作。
この作品だけ出版されたのがだいぶ後のためか、文章は他の2つに比べるとかなり分かりやすい気がします(1964年。『黒死館殺人事件』と『ドグラ・マグラ』は奇しくも同じ1935年)。

ただこれも、きちんと理解したかと問われたらあまり自信がないです……(それをいったら『ドグラ・マグラ』もそうなんですが……)。

少女地獄

3人の少女が主人公のオムニバス小説

『少女地獄』は、「何んでも無い」「殺人リレー」「火星の女」という3編の短編小説から成っています(「何んでも無い」だけ少し長め)。

何んでも無い

美人で愛嬌があり、医者からも患者からも慕われる看護婦・姫草ユリ子には、実は裏の顔があって……。

殺人リレー

女車掌なんかに成っちゃ駄目よ。女車掌だけはホントウにダメなのよ……。
トミ子が手紙に記した生命がけの恋とは……。

妾その時にツクヅク思ったわ。女なんて滅多に慰めて遣るもんじゃないって。何を泣いているか知れたもんじゃないんですからね。
夢野久作『少女地獄』の一編「殺人リレー」

意味深な文章です……。
」と書いて「アタシ」と読ませる昭和レトロな感じがたまりません。

火星の女

醜いノッポの女学生・甘川歌枝は、皆から嘲笑的に「火星さん」と呼ばれていた。
彼女はある晩、ある人物の勘違いからとんでもない目に遭い……。


いずれも少女のしたたかさ、弱さの両面を、美しく儚く……所々ぶっ飛んだ出来事を交えつつ……描いています。

青空文庫『少女地獄』


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映画『ユメノ銀河』

『少女地獄』の一編「殺人リレー」は、石井聰亙監督により映画化されています。
石井聰亙監督は『狂い咲きサンダーロードR』『逆噴射家族a』などハチャメチャカルトムービーのイメージが強いですが、『ユメノ銀河』は原作通りの美しいサスペンス映画に仕上がっています。

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映画『火星の女』

元の題名は『夢野久作の少女地獄』。
『少女地獄』の一編「火星の女」を原作としていますが、オリジナルエピソードを加えて話を少し膨らませています(特にヒロインの恋人である殿宮アイ子さんの出番がかなり多めです)。

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瓶詰の地獄

2人きりで美しく育った兄妹の地獄とは……

青空文庫『瓶詰地獄』

船の事故により無人島に流れ着いた幼い兄妹。それから数年、その島で2人きり平穏に暮らしていたのだが……。


短編小説。『瓶詰地獄』と表記されることもあります。
書簡体形式といって、登場人物が手紙を書いている体の文章になっています。
『少女地獄』の一部や、後に出てくる『押絵の奇蹟』などもこの形式で、夢野久作お得意の文章です。
またこの作品には3通の手紙が登場しますが、その時系列が逆になっているのが素晴らしい効果を上げています。
全てを読み終えて、「ということは……?」と始めに戻って考えると、恐ろしいような、悲しいような、やりきれない気持ちになるかもしれません。

漫画『瓶詰の地獄』

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丸尾末広画。 ほぼ原作通りです。
丸尾末広さんといえば、80年代に『少女地獄』というタイトルで、夢野久作の同名小説(の内の一編「火星の女」)をパロディ漫画化していますが(『DDT―僕、耳なし芳一ですa』所収)、これは本当にお下劣です……。
『瓶詰の地獄』はまともに漫画化してくれてよかったです。

死後の恋

美しい……けれどグロい!

青空文庫『死後の恋』

後に出てくる『氷の涯』と同じくロシアが舞台の物語で、戦争が絡んできます。
ただこちらは『氷の涯』より短く、ちょっとグロいです。
文章だとなんとなく美しく思えますが、絵画や映像になっている所を想像すると結構キツいです……。

『瓶詰の地獄』と『死後の恋』は以下の本に収録されています

犬神博士

痛快娯楽冒険活劇!

大道芸人の両親と共に各地を踊ってまわるおかっぱ頭のチイ(見た目は少女だが実は男の子)。チイはいつの間にか大人の抗争に巻き込まれていき……。


最初の方に「犬神の作り方」なんていう物騒な文章が出てくるので、一体どんなおどろおどろしい展開になるのやら……と読み進めていくと、その後は犬神博士の少年時代の回想録になり、全くおどろおどろしくありません。
『ドグラ・マグラ』などとは明らかに違う系統の、イキイキとしたユーモラスなお話です(ちなみに、「幻魔術」という言葉に「ドグラマグラ」というふりがながついています)。

無駄骨折りに発狂するのが正気の沙汰で、悠々と天道を楽しむのがキチガイだという定義がどこに在るのか
夢野久作『犬神博士』

またはキチガイが二十億居て、正気の人間がタッタ一人居れば、その一人の方がキチガイということにきまっているのか
夢野久作『犬神博士』

冒頭で犬神博士が言う台詞です。直接的に物語に関わってくる台詞ではないですが、博士および博士の幼少期である「チイ」の気質がよく表れている文章のような気がします(もしかしたら夢野久作自身の気質でもあるのかも……?)。

注意
  • 未完です。
  • 丸尾末広さんの同名漫画『犬神博士R』は何の関係もありません(しかしこれはこれで面白いです)。

『犬神博士』は青空文庫で作業中とのことです。続編的な『超人鬚野博士』があったのでそれへのリンクを貼っておきます。
青空文庫『超人鬚野博士』


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氷の涯

気弱な文学青年が、なんの間違いか切れ者のスパイ扱いに……!

横領、誘拐、放火、殺人などといった極悪犯罪の容疑をかけられ、軍から追われる身となった陸軍歩兵一等卒・上村作次郎。しかし彼は実際は全くの無実で……。


何故そこでひとりで抱え込んでしまう……!? と主人公の行動が非常に焦れったく思える反面、ヒロイン・ニーナのたくましさが際立ちます。
『ドグラ・マグラ』等の可憐なヒロインとはまた違った魅力を持つ女性像です。
ラストは幻想的であり、恐ろしくもあります。

妾には好きと嫌いの二つしか道がないのだ。妾はその中で好きな方の道を一直線に行くだけだわよ
夢野久作『氷の涯』

ヒロイン・ニーナの台詞です。ニーナ△……!

青空文庫は作業中とのことです。

あやかしの鼓

その鼓は関わる人を不幸にする……

青空文庫『あやかしの鼓』

鼓作りの名人が、恋をした女性に嫁入り道具として自作の鼓を贈った。
その鼓の音色は美しいが大変陰気なものだった……。


夢野久作のデビュー作。
いわくつきの鼓の呪いが、数代後の子孫にまで影響を及ぼし……という話。
あやしげな未亡人行方不明の兄弟子、××行為など、既に夢久世界がスッカリ出来上がっています。
しかし意外にも、江戸川乱歩にはけちょんけちょんにけなされたのだとか(参考:『夢野久作全集1 三一書房版a』解題)。

「人物が一人も書けていない」「少しも準備のない、出たとこ勝負でちょっとばかり達者な緞帳芝居を見ている感じ」
『夢野久作全集1 三一書房版』解題

雑誌『新青年』創作募集で、『あやかしの鼓』が二等に選ばれた際の江戸川乱歩の言葉。
長所は「全体に漲っているキチガイめいた味」と述べています。

全篇を濃厚に押し包んだグロテスクな気分
『夢野久作全集1 三一書房版』解題

『あやかしの鼓』を推したのは、これも意外な甲賀三郎。
後に夢野久作と「探偵小説の使命」を巡ってちょっとした紙上の論争をする本格探偵小説家です。

押絵の奇蹟

これも一種の心理遺伝?

青空文庫『押絵の奇蹟』

ピアノ教師であるトシ子は、演奏会の最中に喀血し倒れてしまった。
彼女は入院先のベッドで、演奏会を観に来ていた歌舞伎役者・中村半次郎宛てに長い手紙を書き始める……。


非常に美しい物語と文章です。しかしそれだけにある残酷なシーンがものすごい迫力に感じられます。
現代科学からは鼻で笑われてしまいそうですが、こんな不思議なことが起こったらロマンチックだと思います(しかしご主人にしてみればいずれにしろたまったものではないでしょうが……)。
泉鏡花の『外科室R』に通ずる雰囲気があります。

また『あやかしの鼓』から一転、乱歩はこの作品を激賞したのだとか(こちらも参考は『あやかしの鼓』と同じく『夢野久作全集1 三一書房版a』解題)。

二、三頁読むと、グッと惹きつけられてしまった。(中略)
おしまいまで読んで、何の邪魔なものも出て来なんだ
『夢野久作全集1 三一書房版』解題

江戸川乱歩の言葉。
処女作をけなしたことに気が咎めて、人一倍感心したのかもしれない」と断りながらも、原稿用紙9枚にわたる讃辞をつらねたそうです。

『氷の涯』『あやかしの鼓』『押絵の奇蹟』は以下の本に収録されています。

その他おすすめの短編小説

狂人は笑う

青空文庫『狂人は笑う』

「青ネクタイ」と「崑崙茶」という短編小説2編から成っています。
キチガイはかく語りき、といった独白体の文章で、なんだか妙な迫力があります。

悪魔祈祷書

青空文庫『悪魔祈祷書』

こういう珍本って、本当に世の中に1冊くらいはありそうかも……と思えてきてドキドキします。
三十行削除」「四十七行削除」などという文章が途中で出てきますが、昔の全集でもこの記述なので、恐らくもともとこういう文章なのだと思います。

人間腸詰

青空文庫『人間腸詰』

にんげんソーセージ』。語り口がユーモラスなので笑いながら読んでいるとどんどん怖い展開になっていき、終いにはものすごくおぞましい出来事が……。

巡査辞職

青空文庫『巡査辞職』

現実でも繊細な刑事さんなどは、事件関係者に感情移入してしまったりするんでしょうか……。
仕事といってもなかなか割り切れないこともありそうです。

笑う唖女

青空文庫『笑う唖女』

このエリートももう少し神経が太ければ……。
しかし実際、キツツキみたいな奇声を上げる女が押しかけてきたら……と想像してみれば、気が動転するのもやむを得ないかもしれません。

鉄鎚

青空文庫『鉄鎚』

『巡査辞職』や『笑う唖女』では白痴美を感じさせる女性が出てきますが、こちらは小悪魔的な美女が登場します。
夢野久作の書く女性は皆キャラが立っていて素敵です。

霊感

青空文庫『霊感!』

全集などには題名に「」はついていないんですが、何故か青空文庫には謎のビックリマークが……。
これは特に代表作でも人気作でもないと思いますが、個人的に好きなのでおすすめに載せてしまいました。
これぞナンセンス! 夢野ユーモアの極致!? かもしれません。

おすすめエッセイ

探偵小説の正体

青空文庫『探偵小説の正体』

探偵小説は一つの精神的な瀉血」なんていう面白い説が出てきます。
現代でいう所の、暴力的なゲームが攻撃性を強めるのか、それともストレス解消になるのか……なんていう論争が、この時代には探偵小説に関して行われていたのかもしれません。

探偵小説の真使命

青空文庫『探偵小説の真使命』

日本民族の趣味は確実に、敏速に低下して行きつつ在る」なんていう文章が出てきます。
実際そうであったのかもしれませんし、また、新人さんに向けて「探偵小説に決まりなんてない、何を書いてもいいんだよ」ということを言いたかったようです。う~ん、夢Qは懐が深いです。

甲賀三郎氏に答う

青空文庫『甲賀三郎氏に答う』

『探偵小説の真使命』を読んだ大先輩、甲賀三郎(デビュー作を褒めてくれた作家)に絡まれてしまい、それに答える夢Q。
「探偵小説は、小説と名乗る以上どこまでも文芸でなければならぬ。とはいえ在来の文芸上の約束に拘泥する必要は一つもない。」なんていう文章には、やはり新人さんへの優しさを感じます。