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西荻窪での探偵小説についてのトークショー

time 更新日:  time 公開日:2009/01/09

西荻窪で探偵小説についてのトークショーが行なわれるようです。

「昭和30年前後、知られざる探偵小説作家たち」

日時2009年3月15日(日) 16:30受付 17:00開演
会場西荻窪 今野スタジオ「MARE(マーレ)」
料金1500円
出演山前譲(やままえゆずる)さん
定員25名
主催西荻ブックマーク

山前譲(やままえゆずる)とは

1956年北海道生まれ。推理小説評論家、アンソロジスト。文庫解説や書誌研究著作も多数。2003年『幻影の蔵』にて第56回日本推理作家協会賞評論その他の部門を受賞。


まだだいぶ先の話なんですが……定員25名、しかも予約制とのことなので、ご興味ある方は早めに申し込んでおいた方がいいかもしれません(私は張り切って既に昨年末に申込済)。

山前譲さん――もっと年配の方かと勝手に想像していたのですが、まだ50代でいらっしゃるのですね。
数えてみたら、山前譲さんが解説などをなされている本がうちには18冊ありました。探偵小説の解説というと中島河太郎さんか山前譲さんが私の中では二大巨頭です。お二方のお名前を同じ位よく拝見する気がします。次いで日下三蔵さんでしょうか(あくまでもうちの本棚についての占有率の話)。

山前譲さんが関わっている書籍といえば、中でも「幻の探偵雑誌」シリーズと「甦る推理雑誌」シリーズが印象的です。
前者は戦前の探偵小説誌、後者は戦後の探偵小説誌の傑作選です。それぞれ10冊ずつ出ているようです。
何年か分の古雑誌に全て目を通すとなるとものすごく目が疲れそうですよなァ……。そして面白いものを選んで載せてくれている訳ですから、大変ありがたい話です。

私はこれら全てを持っている訳ではないのですが、以前このブログで「探偵小説の論争」という記事を書いた時にちょっと触れた木々高太郎の「探偵小説芸術論」、これが『「探偵春秋」傑作選』に載っています。

上記に加えて甲賀三郎の反撃や乱歩と純文学作家の対談、もちろん創作小説(渡辺啓助、光石介太郎など)も何作か掲載されていて、これは大変読み応えがありました。

感想

行って来ました。大変面白かったです。

約2時間のイベントでした。前半では探偵小説の歴史について説明を受け、久々に学校の授業を受けているような心持ちに。といっても、山前さんが笑いや毒をふんだんに織り交ぜながら話を進めて下さったので、退屈とは全く縁遠い楽しい授業でした。
後半ではスライドで昔の本の表紙や挿絵を見ながら、主に『妖奇』で活躍した作家の話を聞く事が出来ました。

歴史についてははじめの方はついていけたのですが、後からどんどん知らない作家の名前が挙がってきてたじろぎました。
というか、探偵小説家を「陽の当たる場所に居た人」「ちょっとだけ陽の当たる場所に居た人」「全然陽の当たらない場所に居た人」という風に分けていらっしゃったのですが、私の知っている探偵小説家は皆(探偵小説自体が何となく翳のある存在ではあったけれども、その中においては)「陽の当たる場所に居た」方たちだったようです。

「ちょっと陽の当たる場所」に居た方たちすら私はもうウッスラと名前をどこかで見たような気がする、作品とはまるで結びつかない……という感じで、「陽の当たらない場所に居た」人たちについてはチンプンカンプン……。

しかし後半、妖しい挿絵などをかなりの枚数、プラス伊藤晴雨のアトリエ探訪的なグラビア(これは白黒でしたが)まで見ることが出来てテンション上がりまくりでした。
また、山前さんが「この作家さんはコレコレな作風」と説明なさってくれたので、これは読まなくていいか……これはちょっと調べてみるかな……と、わからないながらもある程度目星をつけることが出来ました。

私が興味を惹かれたのは朝山蜻一さんという作家……「エロチックスリラー」とでもいう作風とのことで、これは是非チェックせねばという気になりました。
家に帰って調べてみると、『甦る幻影城 2』というアンソロジーに朝山蜻一さんの作品が1作収録されていました。読み直してみた所、こんなんあったな……くらいの印象で、その作はそれほどエロチックでもスリラーでもありませんでした(強いていうなら幻想小説……?)。
しかしネット書店で検索したら、2冊朝山蜻一単独名義の本が出ていて(『白昼艶夢』と『真夜中に唄う島』……もう一冊『その愛』というのは絶版のようです)、それらはなかなか面白そうだったので注文してみました。

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真夜中に唄う島』の方はエロチックというよりエロそのものといった雰囲気ですが、『白昼艶夢』の表紙はなかなかよさげです。期待が高まります。
西荻窪で入手した古本たちを読み終えたら、取り掛かりたいと思います。

西荻窪で入手した古本

『深夜の市長 他』 海野十三

『神州纐纈城』 国枝史郎

『奇談の時代』 百目鬼恭三郎

お三方とも「陽の当たる場所」に居た方たち……のはずです(百目鬼さんだけちょっと時代が新しいでしょうか)。