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『ホドロフスキーのDUNE』~芸術か技術か、もしくは魂かお金か

time 更新日:  time 公開日:2017/01/28

少し前に『ホドロフスキーのDUNE』という映画を観たのですが、これがもう人生や芸術に関する名言連発で痺れてしまいました。

人生の目的(ゴール)とは何なのか?
自分を魂として昇華させること。
『ホドロフスキーのDUNE』

私にとって映画は芸術だ ビジネスである前にね
『ホドロフスキーのDUNE』

人間の魂を深く追求する それが映画だ
『ホドロフスキーのDUNE』

……とこんな感じなのですが、他にもたくさんの名言が出てきましたので、ホドロフスキーや『ホドロフスキーのDUNE』について説明しつつ、それらを以下でご紹介していこうと思います。

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アレハンドロ・ホドロフスキーとは

1929年生まれの映画監督。1971年に代表作である映画『エル・トポa』を公開。ミニシアターでの深夜上映ながら大ヒットを記録し、現在でも稀代のカルト映画として語り継がれている。

その後『ホーリー・マウンテンa』『サンタ・サングレ 聖なる血R』『ホドロフスキーの虹泥棒R』を監督するも、20年以上にわたって映画監督としては沈黙。
2013年、84歳の時に『リアリティのダンスR』で映画監督として復活を果たした。

『ホドロフスキーのDUNE』とは

未完の大作映画『DUNE』、もしも完成していれば、『2001年宇宙の旅R』を越える傑作になっていたかも……!?

1975年、人気小説を原作としたSF大作映画『DUNE』を作る企画が持ち上がる。監督はアレハンドロ・ホドロフスキー。
ホドロフスキーは「魂の戦士」であるスタッフや役者を集めていき、仏典や福音書に匹敵するような「聖なる映画」を作ることを目指す。
分厚い製作資料を作成し、いくつかの映画会社をまわってプレゼンした所、誰もが「完璧だ」との感想をもらした。にもかかわらず、結局『DUNE』が作られることはなかったのだった……。

それから30年以上経った2013年に、ホドロフスキー監督やプロデューサーに、当時の思い出や、なぜ計画が頓挫してしまったのかをインタビューしているドキュメンタリー映画が作られました。それが『ホドロフスキーのDUNE』です。

「魂の戦士」を集める

映画を見に行き、衝撃を受け、意識が広がり人生が変わるようにしたい。聖なる映画を作りたい。
『ホドロフスキーのDUNE』

と、映画『DUNE』に並々ならぬ情熱を傾けていたホドロフスキー。聖なる映画を共に作ってくれる「魂の戦士」を自ら探しにいきます。

絵コンテ担当はバンド・デシネ作家のメビウス、音楽担当はピンク・フロイドダリミック・ジャガーウド・キアーも出演を快諾(ダリには高額なギャラを吹っかけられたようですが……)。
そしてダリにH・R・ギーガーを紹介してもらったのだとか。後にギーガーは『エイリアンR』のデザインをして有名になりますが、この頃はまだ映画に携わったことはなかったそうです。

その他に、『2001年宇宙の旅』の特撮技術者、ダグラス・トランブルにも会いにいったのですが、なんだか感じが悪かったそうな。ホドロフスキーいわく、

高い技術を持っているが、精神的な深みがない。うぬぼれの強い男
『ホドロフスキーのDUNE』

こいつは「預言書」となる映画を作るのにふさわしくない……!
君とは仕事できない!」といってホドロフスキーはプリプリ帰ってしまいます。
一緒についていったメビウスが驚いて、「ハリウッドの特殊効果の第一人者によく(あんなことを)いえるな」といったそうなのですが、ホドロフスキーは

魂の戦士ではない者とは映画を作れない
『ホドロフスキーのDUNE』

と答えたのだとか。う~ん、カッコいいですね……!

ダン・オバノンとの出会い

その後、ホドロフスキーはたまたま入ったハリウッドの小さな劇場で上映していた『ダーク・スターa』(ジョン・カーペンター監督)を観て、その特殊効果にピピッと感じるものがあったらしい。

彼こそ求めていた才能だ。捜し出すぞ!
『ホドロフスキーのDUNE』

その「」とは、後に『エイリアン』の脚本や『バタリアンa』の監督で有名になるダン・オバノン

私にとって大切なのは芸術で、技術はその次だ。
だから彼を選んだ
『ホドロフスキーのDUNE』

初めて会った時、ホドロフスキーはダン・オバノンに上物のマリファナを渡し、ダンは「嬉しいね!」と答えたとか(ダン談)。どちらもぶっ飛んでますね……!

魂を売らずに貧しいままを選ぶ

ちょっとネタバレになってしまうのですが、何故『DUNE』が製作中止になったかというと、1500万ドルという多額の製作費に加え、なんと上映時間を20時間にするつもりだったらしいのですね。20時間て……!

また、『エル・トポ』や『ホーリー・マウンテン』などの奇抜な映画を撮っていたことから、ホドロフスキーに大作を任せられるのか……? と映画会社が渋ったのも理由のひとつなのだとか。

しかしなんといわれようとホドロフスキーは妥協しなかった。「詩人のように、自分の思った通りの映画を作るのだ!」といって一歩も譲らなかったのだとか。

それについては現在も後悔はしていないようで、

最近の映画監督は命令に従っているばかりなので似たような作品が多い。私もそれをやれば生活が楽になるが、魂を売らずに貧しいままを選ぶよ
『ホドロフスキーのDUNE』特典映像

といっています。

また、

予算が莫大な映画には投資家がいる。自由がないし、魂を売ることになる。
『ホドロフスキーのDUNE』特典映像

そりゃあ仕事も必要だ。
でもそれは彼らの世界だ。
こっちは別の世界を作ればいい。
アートである映画を作れるし作らなければ。
『ホドロフスキーのDUNE』特典映像

アートとは何か?
私は決して映画からお金を得たいとは思わない。
オスカーなどいらない。
私は大金を失うために映画を作ってやる。
『ホドロフスキーのDUNE』特典映像

という言葉も印象的です。

これをいっているのは20代の若者ではなくて、80歳を越えたホドロフスキーなのです。
さまざまな紆余曲折を経て、それでもなおピュアな気持ちを失わないホドロフスキーには脱帽です。

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その後の『DUNE』

『DUNE』は製作中止になりましたが、その後ハリウッドの映画会社が別の映画監督に企画を渡し、『デューン 砂の惑星a』が作られました。

その映画監督とはデヴィッド・リンチ。『イレイザーヘッドa』『エレファント・マンR』などで有名な映画監督です。

ホドロフスキーは、自分と同じくミニシアターの深夜上映からカルト的な人気映画を作り出したデヴィッド・リンチのことを認めていたようで、「リンチだったらきっと私よりも『DUNE』をうまく作ったに違いない……」とクヨクヨしていたのだとか。
しかし息子に、「(他の人が作った『DUNE』を)観に行くのが勇者」といわれてしぶしぶ観に行った。
するとひどい駄作だったので大変喜んだという。

大人気ないとは思ったが人間そういうものだ
『ホドロフスキーのDUNE』

人間くさくて親しみが持てますね……。そしてその後、

しかし才能あるリンチがこんなものを作るわけがない。製作者が悪いのだ
『ホドロフスキーのDUNE』

とリンチのフォローをしています。

器が小さい人だったら、同業者を貶めて、製作者に媚びを売ってしまいそうですが、ホドロフスキーは全くの逆です。
世渡り上手とは口が裂けてもいえそうにありませんが、人間的にはものすごく素敵です。

『DUNE』が後世の映画に与えた影響

実際には作られなかった『DUNE』ですが、メビウスの絵コンテが『スター・ウォーズR』や『マトリックスR』に影響を与えたようです。

また、『DUNE』をきっかけにダン・オバノンとH・R・ギーガーが知り合いになり、後に『エイリアン』の脚本家になったオバノンが、エイリアンのデザインをギーガーに依頼してはどうかと推薦したそうです。
『DUNE』の企画がなかったら、エイリアンのデザインが今とは全く違ったものになっていたかも……!?

芸術か技術か

上記で私が特に好きな名言が、

私にとって大切なのは芸術で、技術はその次だ。
『ホドロフスキーのDUNE』

ですね。私は昔からこの手の名言に弱いのです。

岡本太郎の

今日の芸術は、
うまくあってはいけない。
きれいであってはならない。
ここちよくあってはならない。
岡本太郎『今日の芸術

「さすがにピカソはうまい」などと言う人が多いようですが、そういう感心のしかたは気をつけなければなりません。(中略)
うまいから価値があるんだというような言い方、考え方はまちがいだし、危険なのです。
岡本太郎『今日の芸術

や、芥川龍之介の

僕の作品を作っているのは僕自身の人格を完成するために作っているのではない。いわんや現世の社会組織を一新するために作っているのではない。ただ僕の中の詩人を完成するために作っているのである。
芥川龍之介『文芸的な、余りに文芸的な

などという言葉に感銘を受けたものです。

自分に技術がないので、こういう名言に惹かれるし、励まされます(かといって芸術家であるとも到底いえませんが……)。

技術第一になってしまうと、いい感じの泥臭さが失われる気がします。歌に例えるなら、上手なカラオケと、多少下手でも思いのたけが詰まった魂からの歌とのどちらが聴きたいかといわれたら、私は後者の方を聴きたい。
魂からの上手い歌が一番いいのだろうけど、どうも芸術と技術は両立しづらいように感じます(私の偏見かもしれませんが……)。

魂かお金か

また、

魂を売らずに貧しいままを選ぶよ
『ホドロフスキーのDUNE』特典映像

という言葉にもグッときました。

ただ水を差すようですが、魂……といっても、作品にして発表するという時点で、他人に見てほしいという気持ちがあるということだから、魂からの本物の芸術とはいえないのかも……。

ポオの小説に、

すぐれた天才は必然的に野心家だとしても、最もすぐれた天才はもはや野心などといったものを超越している、という風には考えられないだろうか。もしそうだとすれば、詩人ミルトンよりもはるかに偉大でありながら、満足して「鳴かず飛ばず」で終った者も数多く存する、というようなことにもならないだろうか。
ポオ小説全集4「アルンハイムの地所」

という文章があって、これを読んだ時にはハッとさせられたものでした。本当の芸術というものは、作品にならずに頭の中にあるのではないかと。作品という形になった途端、それはもう芸術ではないのかも、と……。

しかし魂からの芸術が形にできないものだとしても、なるべくそれに近いことをホドロフスキーはやろうとしたのだろうし、『エル・トポ』ではほとんどそれを成し遂げていたと思います。

「儲けるため」といって憚らなかったハーシェル・ゴードン・ルイス

お金じゃなくて芸術! 魂! というストレートに熱いホドロフスキー監督も好きなのですが、私は映画製作を「儲けるため」といって憚らなかったハーシェル・ゴードン・ルイス監督も好きです。

【スプラッターの始祖】ハーシェル・ゴードン・ルイス監督の映画 6作品【『2000人の狂人』等】

という記事でご紹介したのですが、どの映画もグチャグチャドロドロのスプラッターです。スプラッターによっぽど情熱を持っている監督さんなんだろう……と思っていたので、「儲けるためにスプラッターを作っていた」と知った時は少なからず驚きました(参考:『ゴッドファーザー・オブ・ゴアa』)。

しかし映画のメイキング映像などでは嬉々として撮影しているように見えたので、全く乗り気でなかったという訳ではないのでしょう。『ゴッドファーザー・オブ・ゴア』のエンディングでも、自身が作曲した『2000人の狂人R』のテーマ曲をノリノリで歌っていました。
もしかしたら内心では自身のスプラッター映画に誇りを持ちつつも、照れ隠しで「お金儲け」といっていたのかもしれません(特に根拠はなく、ただ私がなんとなくそう思うだけですが……半分願望が入っているのかも……?)。

そういえばホドロフスキー監督とハーシェル・ゴードン・ルイス監督には共通点があって、長い間映画を製作しない期間があって、その後再びメガホンをとっています。
また、お二方ともインタビュー映像を見ると、とてもお茶目で穏やかな好々爺です。
芸術のために……! といってキリキリしているような人はなんだか偽者くさく感じます。芸術家であろうとなかろうと、やっぱり穏やかな方のほうが素敵です。


では最後にもうひとつ、ホドロフスキー監督の元気が出る名言を書いて終わりにします。

失敗したら別の道を選ぶだけだ。
失敗しても構わない。挑戦するんだ。
『ホドロフスキーのDUNE』特典映像

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